欧州の先進タワーヤーダはわが国の急峻で複雑な地形条件にも適合できる

欧州の先進タワーヤーダはわが国の急峻で複雑な地形条件にも適合できる

タイトル欧州の先進タワーヤーダはわが国の急峻で複雑な地形条件にも適合できる
要約森林・林業再生プランの事業により、四国の事業体に欧州の先進タワーヤーダが導入されました。このタワーヤーダを用いて間伐作業を行った結果、日本の厳しい地形条件においても高い生産性が期待できることを明らかにしました。
担当機関(独)森林総合研究所 林業工学研究領域
(独)森林総合研究所 四国支所
区分(部会名)森林
背景・ねらいわが国の森林・林業再生のため、路網整備と機械化等による新たな素材生産技術の開発が求められていますが、日本の急峻で複雑な地形における素材生産作業では架線による集材が不可欠です。現在は、建設機械にウィンチをつけたスイングヤーダが主流ですが、集材可能距離が短いことから高密な作業路網が必須です。しかし、降雨が多く地形条件の厳しい日本では、高密路網を整備できる森林は限られ、すでに手近な森林の整備は進んでおり、豊富な資源を持つ奥山の利用が求められています。また、従来機械ではパワーが不足しているため、資源が成熟し大径化しつつある木材を引き上げるのに困難な状況も見られるようになってきました。そこで、集材距離が長くて十分なパワーを持つ欧州の先進タワーヤーダを用いて間伐作業を実施し、わが国でも高い生産性が期待できることを明らかにしました。
成果の内容・特徴国内と国外のタワーヤーダの性能比較のために文献調査を行うとともに、欧州の先進タワーヤーダを用いて急峻で複雑な斜面で間伐作業の実証試験を行いました。

タワーヤーダの特徴

タワーヤーダとは、伐り倒した木を森林内から道沿いまで集めるための集材機械です。トラックやトレーラをベースマシンとして、集材用のウィンチとワイヤロープを高く張り上げるためのタワーを装備しています。従来の架線集材機械に比べ、必要とする機材が少なく設置が容易です。
新規に欧州から導入された先進タワーヤーダは、中間サポートを使用することでワイヤロープが地面につかないように張り高を確保できるので、複雑な地形に対応することができます。また、本体は高度に電子制御され、プロセッサ(造材機械)のコックピット内からリモコン操作できるなど、既存機よりも格段に安全性が確保されていて、同時に省力化・効率化が図られています。

タワーヤーダによる間伐集材作業

実際に、架線下の間伐した伐倒木を搬器でつり上げ、上げ荷集材した場合(図1)、荷掛量(搬器に掛けた材積)は集材作業時間に影響せず、集材距離が長いほど作業時間が多くかかることがわかりました。また、搬器の走行速度を既存機と比較すると、先進タワーヤーダの方が荷を掛けていない空走行では2倍、荷を吊った実走行では1.2倍程度速いことがわかりました。以上から、上げ荷集材作業の生産性を求めると、荷掛量が約0.30m3であった既存機の生産性は、先進機の荷掛量0.20m3の生産性とほぼ一致し、先進機の方が既存機より1.5倍程度の高い生産性が得られることがわかりました。
この先進タワーヤーダは高規格の林業専用道を必要とします。日本では過去にタワーヤーダを導入しましたが、資源が未成熟で路網整備や中間サポートの利用技術が不十分であった等の理由から定着しませんでした。しかし、今では森林資源が成熟してきたことから、森林・林業再生プランで示された高規格の林業専用道を整備し、安全で効率的なタワーヤーダを使った素材生産技術を確立することで、豊かな資源を有効に使うことを推進するべきです。

研究資金と課題:独立行政法人森林総合研究所交付金プロジェクト「豪雨・急傾斜地帯における低撹乱型人工林管理技術の開発」
具体的データ
図1
図2
図3
図4
図5
研究担当者中澤 昌彦(林業工学研究領域)、吉田 智佳史(林業工学研究領域)、佐々木 達也(林業工学研究領域)、陣川 雅樹(林業工学研究領域)、田中 良明(林業工学研究領域)、鈴木 秀典(林業工学研究領域)、上村 巧(林業工学研究領域)、伊藤 崇之(林業工学研究領域)、山﨑 敏彦(高知県立森林技術センター)、今冨 裕樹(四国支所)
発行年度2012
オリジナルURLhttp://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2012/documents/p10-11.pdf
収録データベース研究成果情報

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