高性能「ハイパー木質ペレット」の量産と市販ストーブによる利用実証

高性能「ハイパー木質ペレット」の量産と市販ストーブによる利用実証

タイトル高性能「ハイパー木質ペレット」の量産と市販ストーブによる利用実証
要約木質ペレットの製造方法を改良して、高性能なハイパー木質ペレットの量産に成功しました。これを市販のペレットストーブで使ってみたところ、熱効率が向上するとともに、燃料消費量を抑えることができました。
担当機関(独)森林総合研究所 加工技術研究領域
(独)森林総合研究所 木材特性研究領域
(独)森林総合研究所 木材改質研究領域
(独)森林総合研究所 立地環境研究領域
(独)森林総合研究所 多摩森林科学園
(独)森林総合研究所 研究コーディネータ
区分(部会名)森林
背景・ねらい木質ペレットの製造方法を改良して、高性能な「ハイパー木質ペレット」の実用規模に近い量産に成功しました。ハイパー木質ペレットは、従来品に比べて製品のもつエネルギーが高く水にも強い性質を持ちます。これを市販のペレットストーブで使ったところ、熱効率が向上するとともに、燃料消費量を抑えることができました。
成果の内容・特徴木質ペレット(図1左)は木くずを円柱状に固めた燃料で、取り扱いしやすいことから、ストーブやボイラー用として需要が伸びています。しかし発熱量が灯油や石炭より低く、水や湿気で簡単に崩れる欠点があります。その克服のため、本研究では熱をかけることに着目しました。得られた高性能ペレットを「ハイパー木質ペレット」(図1右)と名付け、実験室での試作をふまえ、実用規模に近い量産に成功しました。またハイパー木質ペレットをストーブ燃料として使ったところ、熱効率が向上するとともに、燃料消費量を抑えることができました。

「ハイパー木質ペレット」の作り方

木材のエネルギーを高める方法には、古くから炭化が知られていました。しかし炭化は通常1,000℃近くもの高温で行うため、木材が本来持つエネルギーの2/3は外に逃げてしまいます。そこで、お茶やコーヒー豆を「ほうじる」イメージで300℃前後の低い温度で「ほどほどに熱をかける」(半炭化)ことにしました。半炭化により外へ逃げるエネルギーを最大限小さくしながら、製品のエネルギーを従来品より約3割向上させることができました。またハイパー木質ペレットは従来品と同様の燃えやすさを示すほか、水に強いこともわかりました。実験室での試作結果をふまえて、木炭生産で使われている外熱式ロータリーキルン*型炭化装置と、市販のペレット製造機の組み合わせ(図2)でハイパー木質ペレットの製造を行い、実用規模に近い量産(1時間当たり150kg)ができました。製造コストは、本研究では原料チップを外部から5,000円/t-wetで購入するとしており、年間5,000トン規模で生産する場合、1kgあたり50円以下で生産可能です。今後、原料チップを製材残材から内部調達するなど、原料調達方法や設備の見直しを行うことで更なるコスト低減を検討します。

実際にストーブで燃やしてみる

図3にペレットストーブで燃える様子を示します。左は従来のペレット、右は従来のペレットにハイパー木質ペレットを2割混ぜたものです。ハイパー木質ペレットは着火性に問題なく従来品と同様に利用できるほか、熱効率の2%向上、燃料消費量の4%低減が実現できることがわかりました。さらにハイパー木質ペレット100%を使用した試験も行い、ストーブ改良等の検討の余地があるものの、熱効率が2%向上しながら燃料使用量を15%削減できることを確認しています。

アウトカム

ハイパー木質ペレットは家庭や地域における熱利用だけでなく、発電利用も可能です。海外ではこうした半炭化を「トレファクション」とよび、石炭火力発電所で石炭と混ぜる割合を従来よりも大幅に増やせるとされており、ハイパー木質ペレットの活用により温暖化抑制への寄与が期待できます。仮に我が国の石炭火力発電所で燃料の5%にハイパー木質ペレットが使われるようになると、600万トン程度の需要が見込まれます。

研究資金:競争的資金(農林水産省実用技術開発事業)課題名:次世代高カロリー木質ペレット燃料「ハイパー木質ペレット」の製造・利用技術の開発
福井県総合グリーンセンターと共同で実施しました。

*外熱式ロータリーキルン
円筒を横に倒したような形の加熱装置で、筒の外から熱を加えることができる。目的により、炭化、焼却、ガス化(成果選集24ページ参照)などに使われる。
具体的データ
図1
図2
図3
研究担当者吉田 貴紘(加工技術研究領域)、黒田 克史(木材特性研究領域)、久保島 吉貴(木材特性研究領域)、上川 大輔(木材改質研究領域)、金子 真司(立地環境研究領域)、三浦 覚(立地環境研究領域)、古澤 仁美(立地環境研究領域)、佐野 哲也(立地環境研究領域(特別研究員))、井上 真理子(多摩森林科学園)、大原 誠資(研究コーディネータ)、野村 崇(福井県総合グリーンセンター)、和多田 浩樹(福井県総合グリーンセンター)
発行年度2012
オリジナルURLhttp://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2012/documents/p26-27.pdf
収録データベース研究成果情報

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