熱帯林の違法伐採を防ぐためのDNAによる樹種・産地識別技術の開発

熱帯林の違法伐採を防ぐためのDNAによる樹種・産地識別技術の開発

タイトル熱帯林の違法伐採を防ぐためのDNAによる樹種・産地識別技術の開発
要約東南アジア熱帯林で生態及び林業において重要なフタバガキ科樹木について、DNAによる樹種識別技術を開発するとともに、産地識別も大きな地域では可能であることを明らかにしました。
担当機関(独)森林総合研究所 森林遺伝研究領域
(独)森林総合研究所 林木育種センター
区分(部会名)森林
背景・ねらい東南アジア熱帯林で生態及び林業において重要なフタバガキ科樹木についてDNAによる樹種識別及び種内の産地識別について調査しました。樹種識別はフタバガキ科の中でも最も大きなグループであるShorea属を対象に、葉緑体DNAの塩基配列の解読を行ったところ、樹種識別はほぼ可能であることが分かりました。また輸入された木材からのDNAによる樹種識別技術を開発しました。産地識別については東南アジアの広域に分布するShorea属の2種について調査を行いました。その結果、ボルネオ島とマレー半島などのも大きな地域では可能であることが分かりました。しかし、ボルネオ島内の地域集団を特定するようなDNAマーカーを見つけ出すのは難しいことを明らにしました。
成果の内容・特徴

DNAを用いたフタバガキ科の種の識別

フタバガキ科は東南アジアの熱帯林で最も重要な樹種であり、ラワン材として我が国にも輸入されています。フタバガキ科で最も大きなグループであるShorea属について90種を対象にDNAでの識別を行いました。識別に用いた葉緑体DNAは種の分類に最適なDNAだと言われています。合計で約4200塩基配列を解析し、種の識別を試みたところ、ほとんどの種は識別が可能であることが分かりました(図-1)。また特定の近縁種では同じ塩基配列をもつものがあり、識別が難しい種もありました。

広域分布種を用いて地域を識別するDNA領域を探す

フタバガキ科のなかで東南アジア広域に分布するShorea leprosulaS. parvifoliaの2種を対象に分布域全般(スマトラ島、マレー半島、ボルネオ島)から材料を収集しました。収集したS. leprosulaの27集団とS. parvifoliaの18集団について葉緑体DNAと核DNAの解析を行いました。その結果、2種ともボルネオ島集団とその他のスマトラ島及びマレー半島集団が明瞭に遺伝的に分化していました(図-2、図-3)。しかし、ボルネオ島内の集団間では、緩やかな違いはあるものの明瞭な遺伝的な違いは見られませんでした。そのためDNAではボルネオ島とその他の地域などの大きな地域間では識別が可能でしたが、特定の地域を識別するには至りませんでした。これらの遺伝的な違いは種の歴史的な分布変遷と密接な関係があるためです。

DNAによる種識別及び地域識別の可能性

DNAによる種の識別は特定の近縁種や雑種を除いて可能であることが分かりました。同種内の地域識別はボルネオ島などの大きな島レベルであれば可能であることが分かりました。また輸入された木材、ベニヤ板や合板からのDNA抽出法も開発しました。これらの成果を森林総研のWebにおいて、データベースとして公開しました。この樹種・産地識別技術は、違法伐採の抑止力として活用されることが期待できます。

本研究は「予算区分:環境省地球環境総合推進費、課題名:熱帯林の減少に伴う森林劣化の評価手法の確立と多様性維持による成果です。種識別の詳細はTsumura et al. (2011)Journal of Plant Research 124:35-48及びデータベース(http://f5002.ffpri-108.affrc.go.jp/shorea/)をご参照ください。
具体的データ
図1
図2
図3
研究担当者津村 義彦(森林遺伝研究領域)、上野 真義(森林遺伝研究領域)、大谷 雅人(林木育種センター)、谷 尚樹(国際農林水産業研究センター)、上谷 浩一(愛媛大学)、原田 光(愛媛大学)、Lee Soon Leong(マレーシア森林研究所)、Kevin Kit Siong Ng(マレーシア森林研究所)、Norwati Muhammad(マレーシア森林研究所)、Mohamad Na'iem(ガジャマダ大学)、Sapto Indrioko(ガジャマダ大学)、Eyen Khoo(サバ森林研究センター)、Bibian Diway(サラワク森林研究センター)、Reiner Finkeldey(ゲッチンゲン大学)
発行年度2012
オリジナルURLhttp://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2012/documents/p34-35.pdf
収録データベース研究成果情報

研究成果情報アクセスランキング

Copyright 2017 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat