不耕起播種機を用いて生産コストを40%削減する水稲-麦類-大豆水田輪作体系

不耕起播種機を用いて生産コストを40%削減する水稲-麦類-大豆水田輪作体系

タイトル不耕起播種機を用いて生産コストを40%削減する水稲-麦類-大豆水田輪作体系
要約不耕起播種機を用いた経営規模60ha程度の大規模営農において、水稲乾田直播、麦類および大豆の組み合わせによる輪作体系では、気象条件による収量の変動はあるものの慣行体系に比べて労働時間を最大で70%短縮し、60kg当たり生産費を40%削減できる。
キーワード不耕起播種機、水稲乾田直播、大豆不耕起栽培、60kg当たり生産費
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター 作業技術研究領域
連絡先029-838-8481
分類普及成果情報
背景・ねらい水稲・麦類・大豆いずれの作物の播種にも利用できる中央農研開発のディスク駆動式汎用型不耕起播種機(以後「不耕起播種機」、2002、2003年度成果情報)は、耕起を省略することで作業体系を簡略化し、高能率な播種作業を可能にすることから、規模拡大も容易である。そこで、個別経営や集落営農によるブロックローテーションを実施している大規模営農を対象に、不耕起播種機を導入して、水稲・麦類(実証地では「小麦」を栽培)・大豆作の組み合わせによる水田輪作体系を実証し、労働時間や生産費の推移により、生産コスト(60kg当たり生産費)削減の効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 不耕起播種機を用いた作業体系は、水稲乾田直播における苗立ち確保のための整地・均平を余裕のある冬季に行うことにより、播種作業を適期に短時間で行うことができる特徴を持つため、作業の集中する春季の作業競合を緩和する。また、小麦播種では前作残渣処理と土壌改良資材の全層施肥のため、耕起処理を行うことにより、小麦の生育・収量を安定化させることができる。さらに、大豆作では、不耕起で播種することにより、降雨期においても作業可能日数を確保し、適期播種の頻度が高まる(図1)。
  2. 水稲移植と乾田直播を組み合わせ、ブロックローテーションによる小麦および大豆作で構成される60ha規模の大規模営農において、不耕起播種機を用いた水稲→水稲→小麦(耕起)→大豆(不耕起)の3年4作輪作体系による実証栽培では、水稲乾田直播の苗立ち安定化、施肥改善による収量増加、小麦の耐倒伏性品種の導入、大豆不耕起栽培圃場の明渠作溝など排水対策の励行、茎疫病回避のための無施肥栽培等の技術改善で、実証栽培当初に比べて最大20%の収量向上が得られる。一方、春先の低温による小麦の生育抑制(2010年および2011年)、夏季高温による大豆の乾燥害や青立ち(2010年)で、最高収量年に比べて10%以上の減収が確認される(図2)。
  3. 慣行体系(2009年茨城県平均)に比べて本輪作体系は、新技術導入で栽培が安定した直近の3年間(2009~2011年)についてみると、10a当たり労働時間は70%短縮され(図3)、生産物60kg当たり生産費は40%削減される(図4)。特に水稲作において労働時間の短縮と生産費削減の効果が大きい。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象
    本成果は60ha規模の大規模営農調査を整理したもので、適用においては、田畑輪換栽培に適した用排水の良好な圃場を有し、概ね50ha以上の大規模営農を対象とする。
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等
    関東以西の温暖な平坦地が適する。ディスク駆動式汎用型不耕起播種機はこれまで50台以上導入されており、本成果は導入地域において数百haの普及が見込まれる。
  3. その他
    技術指導や問い合わせは中央農業総合研究センターが対応する。播種機の使用方法や栽培マニュアルを提供する。
具体的データ
図1
図2
図3
図4
予算区分委託プロ(水田底力4系)
研究期間2007~2011
研究担当者大下泰生、渡邊好昭、梅本 雅、渡邊和洋、荻原 均、小島 誠、浜口秀生、加藤雅康、島崎由美、松山宏美、松尾和之
発表論文1)梅本雅(2011)総合農業研究叢書、66:239-254
発行年度2011
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2011/111b3_01_02.html
収録データベース研究成果情報

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