関東北部の水田における環境保全型農業が生物多様性に及ぼす効果を表す指標生物と評価法

関東北部の水田における環境保全型農業が生物多様性に及ぼす効果を表す指標生物と評価法

タイトル関東北部の水田における環境保全型農業が生物多様性に及ぼす効果を表す指標生物と評価法
要約関東北部地域の水田において、環境保全型農業が生物多様性に及ぼす効果を評価するために、5種類の指標生物(アシナガグモ類、コモリグモ類、トンボ類、カエル類、水生コウチュウ・水生カメムシ類)を選定し、それらを用いた評価法を開発しました。
担当機関(独)農業環境技術研究所 生物多様性研究領域
区分(部会名)農業環境
背景・ねらい農業による環境への負荷を軽減するため、化学農薬や化学肥料の使用量を減らす環境保全型農業の推進が図られています。しかし、環境保全型農業が生物多様性に及ぼす効果は評価されていないため、この効果を科学的に、また分かりやすく評価するための指標の開発が求められています。そこで、指標生物と評価法を開発するため、害虫の天敵など農業に有用な生物を主な対象として、関東北部の水田において調査を行いました。
成果の内容・特徴栃木県の南部から北部に至る5地域において、有機栽培および減農薬栽培(殺虫剤・殺菌剤1回使用、除草剤使用)、慣行栽培(殺虫剤・殺菌剤2回以上使用、除草剤使用)を行っている水田で、天敵昆虫・クモ類などの種類と個体数を調査しました。
有機栽培水田と減農薬栽培水田を環境保全型として慣行栽培水田と比較し、個体数が両者間で統計的に有意に異なり、また種類の判別や調査が容易な生物を指標生物としました(表1)。これらの生物の個体数が多い水田では指標生物以外の種数も多く、生物多様性の指標として妥当であると判断されました。指標生物の個体数によって、両者の農法を統計的手法(判別分析)で分ける値(基準値と呼びます)を求めました(図1)。
評価は、指標生物毎にその個体数に基づいて決められたスコアを求め、5種類の指標生物のスコアを合計した総スコアによって行います(表1)。この評価法を現地の水田に適用した結果、環境保全型農業の取り組み効果が示されることが分かりました(表2)。
この方法によって、農業が生物多様性に及ぼす効果を客観的に評価することが可能になり、環境保全型農業の効果的な普及に寄与すると期待されます。
具体的な調査手順および総スコアによる判定基準、関東全域や他の地域の評価法などについては、マニュアル(発表論文等2)をご参照下さい。
成果の活用面・留意点本研究は農林水産省委託プロジェクト研究「農業に有用な生物多様性の指標及び評価手法の開発」による成果です。
具体的データ
図1
表1
表2
研究担当者田中幸一(生物多様性研究領域)、浜崎健児(生物多様性研究領域(現:奈良女子大学))、馬場友希(生物多様性研究領域)
発表論文1) 田中、植物防疫、64:600-604 (2010)
2)農林水産省農林水産技術会議事務局ら、農業に有用な生物多様性の指標生物調査・評価マニュアル(http://www.niaes.affrc.go.jp/techdoc/shihyo/) (2012)
発行年度2012
オリジナルURLhttp://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result29/result29_30.html
収録データベース研究成果情報

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