森林作業道から土砂流出を抑える方法

森林作業道から土砂流出を抑える方法

タイトル森林作業道から土砂流出を抑える方法
要約森林作業道から土砂や濁水を流出させない方法を開発し、手引書にまとめました。この手引書では、現場で実行しやすい土砂流出抑制の対策と注意すべきポイントを紹介しています。
担当機関(独)森林総合研究所 林業工学研究領域
区分(部会名)森林
背景・ねらい林業を活性化するため、各地で森林作業道の開設が進められています。しかし、一部では、渓流水に土砂が流れこみ濁水が発生するなどの問題となることがあります。そこで、濁水の流出を抑える方法を検討し、現場で実行可能な対策をまとめました。また、この対策を現場に広く普及するための手引書を作成しました。この手引書では、それぞれの対策を絵や写真で示しながら、いつ、どのように実施するのか、どうしてその対策が有効なのかといった点をわかりやすく解説しています。さらに参考情報として、対策を実施する際の注意点や土砂流出の発生メカニズムなど科学的知見も紹介し、実践的で発展的な内容となっています。
成果の内容・特徴

森林作業道の現状

森林作業道(以下、作業道)は、木材の伐採・搬出などになくてはならないものです。また、木材を低コストで安定して生産するためには、丈夫で崩れにくい作業道を開設し、適切に維持管理していく必要があります。しかし、一部の作業道では、雨が降ったときに土砂や濁水が流出したり、路面が崩れたりするなど、問題となっています(図1)。できるだけ土砂の流出を抑え、コストや手間がかからない適切な対策が求められています。

計画的な土砂流出対策

土砂の流出を抑える対策については、作業道の計画段階、施工(道の開設工事)・作業の段階、作業終了する段階の3つの段階に分けて計画的に考えるとよいでしょう。
計画段階の道をどこに開設するかを検討するにあたって、斜面の形状を考え適切な場所を選ぶことで、作業道からの土砂流出をかなり抑えることができます。例えば、斜面を切り取ってできるのり面から発生する土砂は、のり面が高くなるほど多くなり、また、作業道を開設する斜面が急になるほどのり面は高くなります。つまり、できるだけ傾斜の緩い斜面に開設できれば、のり面は高くならず、土砂流出を抑えることができます。
このような作業道のルート設計をパソコン上でできる森林作業道支援ソフト(SR+・エスアールプラス)を開発しました(図2)。このソフトでは、マウスで描いた道ののり面の高さなどを表示し、土工量*(切土量と盛土量)を算出することができます。ソフトと対話しながら土工量を確認し、ルートを修正しながら、切土のり面高を低く抑え、土砂を流出させない道を計画することができます。
施工・作業の段階では、掘削や走行によって作業道の土壌が撹乱されるので、作業道の表面上を流れる水(表面流)が河川に到達すると、河川が著しく濁ってしまいます。この場合の有効な対策としては、沈砂池(流水中の土砂を沈殿させて除く人工の池)によって表面流の土砂濃度を下げたり(図3)、表面流を林地に浸透させたりして濁水を河川へ直接到達させない方法が効果的です。また、道を計画する際に、作業道を河川に近づけないことも有効です。これらの対策単独では、必ずしも効果が発揮されないため、現地の状況を観察しながら方法や場所を適切に組み合わせて実施することが大切です。
作業終了段階でも、作業によって攪乱された路面から土砂が流出します。路面のような裸地では表面流が発生しやすくなり、侵食されて土砂が流出しますが、路面に植生が繁茂すると土砂の流出はほとんどなくなります。植生が繁茂するまでには、おおよそ3年程度かかりますので、この間の流出を抑える対策が必要になります。これには、間伐の枝払い作業で発生した枝葉で路面を覆うことが有効と分かりました(図4)。スギでもヒノキでも、通常の間伐であれば、すべての路面を覆うだけの枝葉は十分に確保できます。

手引書のダウンロード

これらの成果を手引書にとりまとめ、「森林作業道開設の手引き-土砂を流出させない道づくり-」を作成し、各地の講習会で説明しました。森林総合研究所のホームページ(http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/chukiseika/3rd-chuukiseika2.html)からダウンロードできます。

本研究は、農林水産技術会議「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」における「間伐促進のための低負荷型作業路開設技術と影響評価手法の開発」の成果です。

*土工量
開設工事で取り扱う土の量。斜面に道を開設する場合、斜面を切り取る切土と、斜面に土を盛り上げる盛土によって路面を作るが、その工事で発生する土量。
具体的データ
図1
図2
図3
図4
研究担当者鈴木 秀典(林業工学研究領域)、田中 良明(林業工学研究領域)、山口 智(林業工学研究領域)、小倉 晃(石川県林業試験場)、臼田 寿生(岐阜県森林研究所)
発行年度2013
オリジナルURLhttp://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2013/documents/p40-41.pdf
収録データベース研究成果情報

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