ウンシュウミカンから単離したゲルマクレンA合成酵素遺伝子

ウンシュウミカンから単離したゲルマクレンA合成酵素遺伝子

タイトルウンシュウミカンから単離したゲルマクレンA合成酵素遺伝子
要約ウンシュウミカンから単離したゲルマクレンA合成酵素遺伝子は、既存のセスキテルペン合成酵素遺伝子に固有にみられるゲノム構造を持ち、その遺伝子産物は基質のファーネシルピロリン酸からゲルマクレンAと微量のカリヨフィレンを生成する。
キーワードカンキツ、香気成分、イソプレノイド、遺伝子発現
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 カンキツ研究領域
連絡先029-838-6435
分類研究成果情報
背景・ねらいカンキツ類の果皮にはモノテルペン、セスキテルペンなどの低級テルペンが主要な香気成分として含有され、これらの成分組成の違いにより香気性の品種間差が決定される。香気成分の中には抗菌作用、耐虫作用、抗炎症作用などの機能性を示すものが知られており、有用成分を高含有化させることにより病害虫抵抗性を有する育種素材を開発するためには、カンキツかいよう病、緑カビ病などのカンキツの主要病害に対して抗菌活性を持つ香気成分を同定し、高含有化に向けてカンキツのモノテルペンやセスキテルペンの代謝制御機構を解明する必要がある。植物では香気成分の代謝に関連する遺伝子はゲノム中に多重遺伝子として存在するため、各遺伝子からタンパク質を合成し酵素レベルでの遺伝子の機能同定が不可欠である。病害虫抵抗性に関与が期待できるセスキテルペンを合成する遺伝子を単離するために、セスキテルペン酵素遺伝子群の中から新規遺伝子を単離し、その遺伝子機能を解明する。
成果の内容・特徴
  1. ゲルマクレンA合成酵素遺伝子は1,689塩基対からなり、遺伝子の配列中に既存のテルペン合成酵素遺伝子に固有にみられるRRモチーフとDDXXDモチーフを保持する。
  2. 大腸菌で生成したゲルマクレンA合成酵素タンパク質は約65kDaの分子量を持ち、基質のファーネシルピロリン酸(FPP)からゲルマクレンAと微量のカリヨフィレンを生成する(図1)。
  3. ゲルマクレンA合成酵素遺伝子は、花や幼果実の果皮で遺伝子発現がみられ、100µMのサリチル酸や100µMのメチルジャスモン酸処理により発現量が上昇する(図2)。
  4. ゲルマクレンAは構造的に不安定で再編成されβ—エレメンに変換されるため、果皮で合成されたゲルマクレンAはβ—エレメンとして蓄積すると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. ゲルマクレンA合成酵素遺伝子の塩基配列情報は、公的遺伝子データベースに登録済みである(アクセッション番号:AU186519)。
  2. ゲルマクレンAは果実の発育中に代謝や構造の再編成により他のセスキテルペンに変換されることから、ウンシュウミカンの香気成分には、ほとんど含有されない。
  3. ゲルマクレンAはファイトアレキシンの生成に関わる中間体で、植物の防御応答を誘導するサリチル酸やメチルジャスモン酸処理により遺伝子発現が上昇するため、カンキツの防御機構への関与が期待できる。
具体的データ
図1
図2
予算区分交付金
研究期間2006~2012
研究担当者島田武彦、遠藤朋子、藤井 浩、清水徳朗、大村三男(静岡大)
発表論文Shimada T. et al. (2012) Sci. Hortic. 145:102-108.
発行年度2012
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2012/142g0_06_22.html
収録データベース研究成果情報

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