農用運搬車の横転時運転者防護に関する安全鑑定基準

農用運搬車の横転時運転者防護に関する安全鑑定基準

タイトル農用運搬車の横転時運転者防護に関する安全鑑定基準
要約乗用型トラクタの安全フレームのような横転時の運転者防護対策が確立していない農用運搬車(農用運搬機(乗用型)及び座席を有する圃場内運搬機)に対して、安全鑑定の際、横転時に運転者を守るための構造(基準を満たす安全フレーム)を装備することを基準化する。基準適合の確認試験は横転時に連続転倒しないことを確認するシミュレーション試験と横転時保護構造物の強度を確認する静的強度試験から構成される。
キーワード農用運搬機(乗用型)、圃場内運搬機、転倒、安全鑑定、TOPS
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター 評価試験部
連絡先048-654-7000
分類主要普及成果
背景・ねらい農林水産省の農作業死亡事故調査(2010年)によると、機械の転倒・転落事故のうち、乗用型トラクタによるものが約65%、その他の車両によるものが約35%(うち約1/3が農用運搬車)となっており、その他の車両の転倒・転落死亡事故も無視できない状況にある。そこで、転倒時の運転者防護対策が確立されていない農用運搬車に対して、横転時保護構造物として欧米で採用されている「乗用型ロータリモア」用の安全フレーム(以下、TOPS)を装着できる構造にすることを前提に、その規格(ASAE S547)を適用できるかどうかの試験を行い、その結果を安全鑑定基準に導入し農作業死亡事故の減少に資する。
成果の内容・特徴
  1. 本成果は農用運搬車の横転時に運転者を保護するための安全鑑定基準である。
  2. 農用運搬車のTOPSは、機体の横転時に連続転倒を防止し(図1)、運転者が農用運搬車の下敷きになってしまうことを防止するためのものである。また、試験方法と基準はASAE S547に準拠し、横転時に連続転倒しないことを確認するシミュレーション試験(以下、不連続転倒試験)と機体の横転に耐えうる強度をTOPSが持つことを確認する静的強度試験から構成される。
  3. 不連続転倒試験は農用運搬車の重心位置、全高、タイヤ外径等の値を基に、連続転倒しないことをコンピュータ上で確認するものである。
  4. 静的強度試験は前方からTOPSに対して負荷を加える前部負荷試験、側方からTOPSに対して負荷を加える側部負荷試験、後方からTOPSに対して負荷を加える後部負荷試験からなり、それぞれに与えるエネルギとTOPSの変形に対する判定基準が設けられている(表)。ただし、後部負荷試験については、納屋への収納等のために前方へ折りたたむことができるTOPSの折り曲げ部分の強度を確認するために行うものであり、前方へ折りたたむことができるTOPSにのみ実施する。
  5. 農用運搬車を実際に横転倒させた時にTOPSに加わるエネルギを計測した結果、ASAE S547が要求する側部負荷試験時に与えることになっているエネルギ(1.75J×基準質量)よりもほぼ低い範囲内にあり、問題となるような乖離がなかったことを確認した(図2、3)。よって乗用型ロータリモア用TOPSに関する試験方法と基準(ASAE S547)を農用運搬車のTOPSに適用することは妥当である。なお、転倒方法は車体右側を静的転倒角付近まで持ち上げ、初速を与えないように車体左側を水平面(鉄板)に衝突させた。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:農業機械メーカー
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:基準の対象となる出荷台数、約1,000台/年
  3. その他:本基準は2013年度より安全鑑定基準に導入する。このことで、農用運搬車の安全性が向上し、転倒・転落による死亡事故減少につながる。4輪式、クローラ式以外の走行装置を有する農用運搬車については、新たに不連続転倒シミュレーションプログラムを作成する必要がある。
具体的データ
図1
図2
図3
予算区分交付金
研究期間2006~2011
研究担当者塚本茂善、皆川啓子、原田一郎、高橋正光、水上智道
発表論文1)平成25年度安全装備の確認項目と安全鑑定基準及び解説
2)塚本(2011)農機研ニュース、58:6
発行年度2012
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2012/600c0_02_82.html
収録データベース研究成果情報

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