カイヤドリウミグモの生態解明とアサリの新たな生産対策

カイヤドリウミグモの生態解明とアサリの新たな生産対策

タイトルカイヤドリウミグモの生態解明とアサリの新たな生産対策
要約東京湾の貝類漁場では、寄生性節足動物カイヤドリウミグモ(以降ウミグモ)の被害でアサリの放流がほぼ全面的に停止していた。そこで、アサリの移植放流生産を再開するため、ウミグモの少ない場所と時期を予測して放流する手法を開発した。
担当機関千葉県水産総合研究センター 東京湾漁業研究所
連絡先0439-65-3071
区分(部会名)水産
専門増養殖技術
研究対象あさり
分類研究
背景・ねらいアサリを中心とした貝類漁業はノリ養殖と並んで東京湾の基幹漁業である。しかし、木更津・富津地区ではウミグモによるアサリの大量死亡が発生し、平成19年度以降生産が激減した。このため、関係水産業界からはアサリ生産の再開につながるウミグモ対策の手法開発が強く望まれていた。
成果の内容・特徴1 ウミグモ生態解明のための基礎技術の開発

網袋によるアサリの現場飼育方法と、蛍光色素を用いた微小なウミグモ幼生の鋭敏で簡便な検出法(図1)を開発し,これまで不明だったウミグモ幼生の発育段階区分を確定した上で実用的な区分に簡素化した。これらの技術を現場調査に応用し、ウミグモの寄生時期、その後の成長などの詳細を明らかにした。

2 ウミグモ寄生生活幼生の季節変化の明確化

ウミグモはふ化直後にアサリに寄生し、寄生生活をした幼生は成体となってアサリの外に出て産卵するという生活史を持つ。調査の結果、ウミグモの寄生発生には季節性があり、アサリへの寄生が6~7月にピークとなって(図2)、この時期にアサリが死亡することが判明した。

3 ウミグモ自由生活成体の季節変化の明確化

ウミグモ自由生活成体の分布密度は、5~6月と9~10月に増加することが判明した。また、成体の分布には地域差があり、分布密度の高い場所は毎年ほぼ同じであることを明らかにした(図3)。

4 ウミグモの寄生が発生しやすい場所と季節の判定

1の手法と、2および3の知見をもとに現場飼育実験を行い、ウミグモの寄生開始時期が主として5~7月と10~11月にあることを明らかにした。これらのうち5~7月に寄生したウミグモが、6~7月のアサリの死亡をもたらすこと、10~11月に寄生したウミグモが翌年5月以降の次の世代の寄生をもたらすことが判明した。
成果の活用面・留意点(1)業界関係者を対象にした会議を定期的に開催し、本成果をもとに技術指導を行った。これを受けて多くの漁協ではウミグモ成体の駆除作業が実施され、一部ではアサリの放流が開始された。(2)ウミグモの寄生動態は年変動があり、海域によっても異なる。アサリの放流に当たっては、あらかじめウミグモの寄生実態を把握しておくことが重要である。
具体的データ
図1
図2
図3
図4
予算区分
研究期間2010~2012
研究担当者鳥羽光晴、小林 豊、山田勝雅、石井 亮
発表論文平成22~24年度新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業研究報告書 課題名「カイヤドリウミグモの寄生被害を軽減するためのアサリ生産手法の開発」
発行年度2013
オリジナルURLhttp://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4529&YEAR=2013
収録データベース研究成果情報

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