重イオンビーム照射によるキク花色変異におけるカロテノイド酸化開裂酵素の関与

重イオンビーム照射によるキク花色変異におけるカロテノイド酸化開裂酵素の関与

タイトル重イオンビーム照射によるキク花色変異におけるカロテノイド酸化開裂酵素の関与
要約白花輪ギク品種「神馬」に重イオンビームを照射して黄花に変異した系統において観察されるカロテノイド酸化開裂酵素遺伝子(CmCCD4a)のホモログ数の減少は、CmCCD4aの発現量低下の要因のひとつである。
キーワードキク、カロテノイド、カロテノイド酸化開裂酵素、花色変異
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所 花き研究領域
連絡先029-838-6801
分類研究成果情報
背景・ねらい栽培ギクでは、枝変わりの選抜や変異原処理により黄花系統の作出が試みられてきた。しかし、白花輪ギク品種の「神馬」は花色変異が起こりにくく、これまでに黄花系統は得られていなかった。2002年に、大分県の圃場において枝変わりにより花弁がわずかに黄色みを帯びた「神馬」が発見された。これに重イオンビームを照射することで、黄色みが増した花色変異体を獲得した。そこで、これら「神馬」の花色変異体の花弁におけるカロテノイド量およびカロテノイド酸化開裂酵素遺伝子(CmCCD4a)の発現様式を解析し、花弁のカロテノイド量の増加をもたらした機構を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 大分県の圃場において、枝変わりにより花弁がわずかに黄色みを帯びた「神馬」が発見された(BS)(図1)。これに重イオンビームを照射することで、淡黄色の花色変異体(IB-1-1およびIB-1-2) が獲得できる。IB-1-1にさらに重イオンビームを照射することで、黄色みが増した花色変異体(IB-2-1およびIB-2-2)が獲得できる。
  2. 野生型(WT)の花弁ではCmCCD4aが高発現しているが、BSおよびIB-1の花弁では、WTに比較して発現量が顕著に低い。IB-2では、IB-1よりもさらにCmCCD4aの発現量が低下している(図2)。CmCCD4aの発現量が低くなるほどカロテノイド量が増加する傾向にある。
  3. 「神馬」ゲノムには少なくとも6タイプのCmCCD4aホモログ(CmCCD4a-1, -2, -3, -4,-5,-6)が存在する。
  4. WTおよびBSの花弁では、少なくとも4タイプのCmCCD4aホモログ(CmCCD4a-1, -2, -3, -5)が発現しているが、IB-1では3タイプ(CmCCD4a-2, -3, -5)、IB-2では1タイプ(CmCCD4a-5)のみ発現している(図3)。
  5. 各ホモログに特異的なプライマーを用いたゲノミックPCRにより、IB-1ではCmCCD4a-1が、IB-2ではCmCCD4a-1CmCCD4a-2およびCmCCD4a-3 が欠失していることが確認できる(図4)。重イオンビーム照射によるCmCCD4aのホモログ数の減少が、IB-1およびIB-2におけるCmCCD4aの発現量低下の要因のひとつであると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 「神馬」が黄花への花色変異が起こりにくいのは、花弁で発現しているCmCCD4aのホモログ数が多いことが要因となっていると考えられる。発現しているCmCCD4aのホモログ数を調べることで、変異の起こりやすさをある程度予測することが可能である。
  2. 枝変わり系統のBSは、キメラで花弁のL1層またはL2層でCmCCD4aホモログ数の減少が起こっている可能性がある。
具体的データ
図1
図2
図3
図4
予算区分交付金
研究期間2006~2010
研究担当者大宮あけみ、豊田朋美(大分農研セ)、渡邉英城(大分農研セ)、衛本圭史(大分農研セ)、長谷純宏(日本原研)、能岡智
発表論文Ohmiya A. et al. (2012) J. Japan. Soc. Hort. Sci. 81:269-274
発行年度2013
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/flower/2013/flower13_s03.html
収録データベース研究成果情報

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