ウシ半腱様筋および咬筋のmicroRNA発現プロファイル

ウシ半腱様筋および咬筋のmicroRNA発現プロファイル

タイトルウシ半腱様筋および咬筋のmicroRNA発現プロファイル
要約ウシ半腱様筋(そとももの一部)および咬筋(ほほにく)では、牛肉質に影響する遺伝子発現調節因子microRNAの発現プロファイルが異なる。両筋で計192種microRNAが発現し、このうちmiR-196a/bおよびmiR-885は半腱様筋でのみ発現する。
キーワードウシ、骨格筋、次世代シーケンサー、microRNA、網羅的解析
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 畜産物研究領域
連絡先029-838-8611
分類研究成果情報
背景・ねらいmicroRNAは長さ22塩基長程度(成熟型)の翻訳調節機能をもつRNAであり、ウシで は現在783種の成熟型がデータベースに登録されている。microRNAの成熟型はタンパク 質との複合体を形成し、標的mRNAが分解や翻訳阻害される際にmRNAの配列を認識す る役割を果たす。近年、骨格筋の発生を調節するmicroRNAが報告されている。
骨格筋は収縮に必要なATPの生産を解糖系に依存する速筋型と、ミトコンドリア内酸化的リン酸化に依存する遅筋型の2種に大別される。ウシでは速筋型の半腱様筋と遅筋型の咬筋の間でタンパク質や代謝物質等の構成が異なり、このことが保水性等の肉質に部位間差をもたらしている。骨格筋構成成分の含有量は遺伝子発現の変化によって大きく変動するため、microRNAの発現が食肉構成成分の変動に影響すると考えられる。そこで本研究では、肉質の異なる両筋間でmicroRNAの網羅的発現解析を行い、発現プロファイルの違いを明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 骨格筋に発現するmicroRNAの配列は、黒毛和種牛(去勢、28ヶ月齢)3頭の骨格筋試料(半腱様筋(そとももの一部)および咬筋(ほほにく))から市販キットにより調製したsmallRNAを含むtotalRNAを試料とし、次世代DNAシーケンサー(Illumina Genome Analyzer II)により網羅的に決定、カウントされたものである。
  2. 骨格筋microRNA発現プロファイルは、網羅的に決定された配列データから、以下の 条件で得られたものである。すなわち、(1)18-45塩基長の配列のみについて、microRNA以外の配列情報を除去した後にmicroRNAのデータベースmiRBaseで既知配列との照合を行う。(2)各microRNAについて、それぞれの最頻配列を決定する。(3)配列毎のカウント数を発現量とした定量結果を試料間で75パーセンタイルにより正規化する。
  3. ウシ骨格筋には計192種の既知microRNAのほか、新規候補microRNAが存在する。
  4. 網羅的発現解析用の統計的有意差検定プログラムDESeqによる網羅的定量比較の結果によれば、各筋で有意に高く発現するmicroRNAが計10種存在する(擬陽性確率
  5. miR-196a/bおよびmiR-885は半腱様筋に特異的に発現する(表1)。網羅的定量比較の結果は、定量的PCRで得られる代表的なmicroRNAの発現傾向と一致し、今回のmicroRNA発現プロファイルとその比較方法が妥当であるといえる(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 得られたmicroRNAプロファイルは、牛肉の部位を特徴づけるマーカー開発や、品質差を解明する研究基盤として活用可能。
  2. 次世代DNAシーケンサーによるカウント数を発現定量に用いる際は、データの信頼性確保のため、少なくとも全解析検体のうち3試料でカウント数5以上の配列のみを対象とするなど、一定の基準を設ける必要がある。
具体的データ
表1
図1
予算区分科研費
予算区分交付金
研究期間2010~2013
研究担当者室谷進、谷口雅章、柴田昌宏、大江美香、尾嶋孝一、中島郁世、千国幸一
発表論文Muroya S. et al. (2013). J Anim Sci. 91(1):90-103
発行年度2013
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2013/nilgs13_s33.html
収録データベース研究成果情報

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