道府県別・時系列の稲作総合生産性(全要素生産性)の動向

道府県別・時系列の稲作総合生産性(全要素生産性)の動向

タイトル道府県別・時系列の稲作総合生産性(全要素生産性)の動向
要約トルンクビスト指数とマルムクィスト指数により計測した稲作の総合生産性は、両指数ともに北海道・東北・北陸の現在水準と伸び率が高いことを示す。しかし、九州では指数により傾向に差が生じ、生産性の要因分析では、複数指数適用の必要性を示唆する。
キーワード総合生産性、全要素生産性、トルンクビスト指数、マルムクィスト指数
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 農村基盤研究領域
連絡先029-838-7667
分類研究成果情報
背景・ねらい農業においては、労働・土地・資本の他にも様々な投入要素が用いられることから、労働生産性や土地生産性のような多様な側面から生産性の評価が必要となる。これら多様な生産性を総合的に評価し、稲作の営農利潤と直結した指標として生産性を把握するには、複数の生産投入要素の変化を指数化し、生産(アウトプット)と生産コスト(インプット)の両面から評価する指標である総合生産性(全要素生産性)による評価が求められる。しかし、製造業等の分析に適用されている総合生産性の定量化手法には複数の手法があり、日本の稲作に適用した場合の手法比較は十分には行われていない。
本成果では、最近の計量経済分析で多く用いられているトルンクビスト指数とマルムクィスト指数をとりあげ、両指数によって日本の稲作の生産額と生産コストの変化から総合生産性(全要素生産性)を定量化した場合の地域毎の一致点と相違点を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. トルンクビスト指数による全要素生産性の定量化は、自地域の過去の生産状況のみを基準として毎年の全要素生産性の変化率を求めるもので、各年の生産投入要素の伸び率を各生産投入要素の費用シェアで加重平均して個別地域の動向を評価することができる。一方、マルムクィスト指数による定量化は、自地域の過去の生産状況のみでなく他地域の生産状況を参照して生産性の動向を求めるもので、必ずしも最適な生産状況にない地域の存在を前提に生産性を評価できるが、複数の地域の時系列データが必要となる。
  2. 日本の稲作について、生産費データが公表されている38道府県を対象に1979~2010年(冷害年の1993年を除く)の全要素生産性をトルンクビスト指数とマルムクィスト指数により定量化することにより、各地域の生産性の動向が図化できる(図1、図2)。
  3. 両指数により定量化した稲作の全要素生産性を用いて、2010年の水準と1979~2010年までの平均年伸び率を計算すれば、いずれの指数でも北海道・東北・北陸地域の全要素生産性の現在水準と伸び率が比較的高いのに対し、九州では両指数が有する特性の違いにより伸び率の傾向に差が生じることが明らかとなる(表1)。これは、指標を適用するときに、他地域の生産性の状況を考慮するか否かという、指標自体の特性による。したがって、データが得られれば、複数の指標を適用した結果を比較し、両指数に共通する部分と異なる部分を踏まえた上で政策分析を行う必要がある。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果を用いることにより、圃場整備等の農業基盤整備や経営規模の拡大のための施策について、定量的な要因分析に利用可能である。
  2. 本成果の全要素生産性を用いた影響要因の分析事例としては、本年度の成果情報「気候変動が総合生産性を通じて地域の稲作経営利潤に与える影響予測モデル」を参照されたい。
具体的データ
図1
図2
表1
予算区分交付金
研究期間2011~2013
研究担当者國光洋二、鬼丸竜治、合崎英男
発表論文國光(2014)、日本農業経済学会論文集、107-112
発行年度2013
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2013/nkk13_s08.html
収録データベース研究成果情報

研究成果情報アクセスランキング

Copyright 2017 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat