フォールアウトを受けたクリ園における放射性セシウムの動態

フォールアウトを受けたクリ園における放射性セシウムの動態

タイトルフォールアウトを受けたクリ園における放射性セシウムの動態
要約フォールアウトを受けたクリ樹では、地上部各器官の放射性セシウム濃度に大きな差は認められない。果実、葉、1年枝の濃度は、指数関数的に土壌中の濃度より速やかに減少する。果実中の放射性セシウムは、フォールアウトを受けた部位からの移行が主であると推察される。
キーワード放射性セシウム、クリ、樹体内分布、経年変化、移行特性
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 栽培・流通利用研究領域
連絡先029-838-6453
分類研究成果情報
背景・ねらい東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質のうち、広範囲に降下し半減期が長く長期的な影響が懸念される放射性セシウムについて、クリにおける果実への移行特性に関する調査を行う。
事故発生年の調査により、果実に移行していた放射性セシウムは、樹体へ直接付着したものに起因する割合が大きいと推察された。このため、放射性セシウムが直接付着した樹体を継続調査することにより果実への移行特性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. クリ樹の地上部各器官における放射性セシウム濃度(以下、濃度)には、大きな差は認められない。2011年は根が最も低い値を示すものの、2012年は地上部との差は小さい(表1)。
  2. 果実、葉、1年枝の濃度は、時間の経過とともに指数関数的に減少する(図1)。
  3. 耕起を行っていないクリ園土壌の濃度は、表層土壌で高い(図2)。土壌濃度の低下は、放射性セシウムの物理的減衰(134Csと137Csが1:1で存在すると、 134Cs+137Csは2年間で約3/4となる)と類似する。
  4. 果実濃度を土壌濃度(0-15cm)で除した見かけの移行係数は、2011年は0.051、2012年に0.026、2013年に0.0083と年々減少する。
  5. 2011年の根では濃度が低いこと、果実の濃度は土壌濃度よりも速やかに減少することから、事故発生後3シーズンに生産された果実では、2011年3月に樹体地上部にフォールアウトした放射性セシウムが主に移行したと推察される。
成果の活用面・留意点
  1. バラ科果樹(モモ、リンゴ、ニホンナシ)、カキ、ブルーベリーでは、フォールアウトを受けた器官の濃度が高いが、クリではフォールアウトを受けた器官と新生器官の間で、濃度の大きな差は認められない。クリは、樹体表面から樹体内への放射性セシウムの吸収や樹体内の移行程度が他の果樹とは異なる可能性がある。
  2. 試験園の土壌は淡色黒ボク土であり、樹冠下地表面は除草剤により清耕管理されている。
  3. フォールアウト時(2011年3月)には、134Csと137Csの濃度比はほぼ1:1であり、本成果における放射性セシウム濃度の低下には、放射性セシウムの自然減衰(134Csの半減期は2.1年、137Csは30年)が含まれる。
具体的データ
表1
図1
図2
予算区分交付金
予算区分委託プロ(除染プロ)
予算区分その他外部資金(戦略推進費)
研究期間2011~2014
研究担当者草塲新之助、松岡かおり、齋藤寿広、木方展治(農環研)、平岡潔志
発表論文Kusaba S. et al. (2015) Soil Sci. Plant Nutr. 61(1):165-168
発行年度2014
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2014/fruit14_s23.html
収録データベース研究成果情報

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