ガラス化保存ブタ卵子からの子豚の生産

ガラス化保存ブタ卵子からの子豚の生産

タイトルガラス化保存ブタ卵子からの子豚の生産
要約ガラス化保存ブタ未成熟卵子の加温温度の最適化により、ガラス化保存・加温後の生存率が20%向上する。また、ガラス化保存・加温後のブタ卵子を体外成熟・受精・培養して得られる胚盤胞期胚の移植により、子豚を生産できる。
キーワードブタ、卵子、ガラス化保存、体外受精、子豚
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 家畜育種繁殖研究領域
連絡先029-838-8611
分類研究成果情報
背景・ねらい多くの研究が行われてきているにもかかわらず、凍結保存卵子からの子豚の生産はこれまで報告されていない。一般的に、ガラス化保存後の卵子の生存性や発生能が低く、移植可能胚の生産数が少ないことも原因のひとつと考えられている。我々は、未成熟の卵核胞期の卵子をガラス化保存することにより、成熟卵子をガラス化保存するよりも正常胚への発生率が高まることを報告したが、ガラス化保存・加温後の生存率が低いという問題が残されていた(Somfai et al., 2012)。そこで、未成熟卵子のガラス化保存・加温後の生存性を高め、世界初の子豚の生産に取り組む。
成果の内容・特徴
  1. 液体窒素に浮かせたアルミホイル上にブタ未成熟卵子を含む2~3μLのガラス化液を滴下し、超急速冷却する固体表面ガラス化法によりガラス化し液体窒素中に保存する。加温は、ガラス化保存したブタ未成熟卵子のマイクロドロップを加温プレート上に設置した2.5mLの0.4Mトレハロース添加NCSU37を用いて行う。加温時の加温プレートの設定温度を従来の38度から42度に高めることにより、加温時の培養液の温度を35度以上に保つことができ、生存率が20%向上する(表1)。
  2. 加温後の卵子を体外成熟・受精後、成分既知培地(PZM-5)で培養した場合、38度に比べて42度で加温した場合に、胚盤胞期への発生率が有意に高くなる(表1)。
  3. 42度で加温したガラス化保存卵子を成熟培養し、体外受精・体外培養により得られる5日目(体外受精日を0日とする)の胚盤胞期胚の移植により子豚を生産することができる(表2、 図1)。
  4. 本法を用いたブタ未成熟卵子のガラス化法は、短時間に多数の卵子を操作可能である(ガラス化時:300個/90分、加温時:900個/90分)。
成果の活用面・留意点
  1. ガラス化保存ブタ未成熟卵子からの子豚生産の可能性を証明したことから、ブタ卵子による遺伝子資源保存のための有用な情報となる。
  2. 胚盤胞期への発生率がガラス化しない場合よりも低いことから、ガラス化しない場合と同等の発生率が得られるガラス化保存法や培養法のさらなる改良が必要である。
  3. 本成果は、ガラス化液として50mg/mLポリビニルピロリドン、0.3Mトレハロース、 17.5%エチレングリコール、17.5%プロピレングリコール及び4mg/mL BSA添加修正NCSU-37を用いた場合の成果である。
具体的データ
表1
表2
図1
予算区分交付金
研究期間2012~2013
研究担当者ソムファイタマス、吉岡耕治、谷原史倫(生物研)、金子浩之(生物研)、野口純子(生物研)、柏崎直巳(麻布大)、永井卓(FFTC)、菊地和弘(生物研)
発表論文Somfai T. et al. (2014) PLoS One 9(5):e97731. doi:10.1371/journal.pone.0097731
発行年度2014
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2014/nilgs14_s11.html
収録データベース研究成果情報

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