ラオス中部の田越し灌漑水田では水不足による移植の遅れが水稲減収をもたらす

ラオス中部の田越し灌漑水田では水不足による移植の遅れが水稲減収をもたらす

タイトルラオス中部の田越し灌漑水田では水不足による移植の遅れが水稲減収をもたらす
要約ラオス中部の中山間地農村において、田越し灌漑水田の雨季水稲の減収は、主に水不足による移植時期の遅れにより生じている。収量低下を回避するためには、早期の田面湛水を促し、7月中に移植することが望ましい。
キーワード水不足, 水稲減収, 移植の遅れ, 田越し灌漑
担当機関(国)国際農林水産業研究センター 農村開発領域
区分(部会名)国際農林水産業
分類行政A
背景・ねらいラオス中部の中山間地農村では、人口増加に応じた水稲生産量の確保が求められているが、水田面積の拡大には限度があることから、単位収量の向上が必要である。しかしながら、中山間地域の水田は、天水と田越し灌漑による水供給が一般的であり、水利用自由度の低さ、上流優先の取水などの問題を抱える。田越し灌漑水田における低収量圃場の分布と減収要因、対策を明らかにすることにより、水稲生産性の改善が期待できる。
成果の内容・特徴ビエンチャン県北西部N村の雨季水稲の移植は、7月上旬に始まり、8月中旬に完了する。水源に近い上・中流域の圃場では7月中旬に移植が行われる。しかし、下流域の圃場では、7月中旬は湛水が不十分で耕起も行われず、8月上旬に田面湛水が生じてから移植が始まる(図1)。

移植後は上・中・下流域のいずれの圃場でも概ね田面湛水が維持されている。下流域水田では一時的に田面水が消失するものの、地下水位は地表面下約10 cmであり、水稲の乾燥ストレスが生じる状況ではない。

調査対象域の水稲の平均単位収量は3.5 t ha-1であるが、4.0 t ha-1を上回る圃場が上・中流域に多数見られるのに対し、2.0 t ha-1前後の収量が低い圃場は主に下流域に分布する。

図1に示す低地水田域の137地点で調査した水稲収量を田面湛水開始時期別、移植時期別に区分し比較すると、収量は①7月20日以前>7月21日以降、②7月中の移植>8月の移植、となる(表1)。

土壌肥沃度と水稲収量との間には相関が見られない(全窒素:R2 = 0.004、有効態リン:R2 = 0.08)。
成果の活用面・留意点試験圃場における栽培試験でも、8月に移植した水稲は7月に移植したものよりも低い収量を示す結果を得ている(未公表データ)。
新たな需要に対する水資源の配分、上流側圃場の耕作者との関係など、水利用に関する村としての合意形成が前提となり、調整役となる村の代表者や地方行政職員の協力も必要となる。
移植が一時期に集中して労働競合が生じないよう、作業計画を調整する必要がある。 乾季明けの6月中旬~7月初めの水利用を拡大するために、水資源の確保、既存ため池の貯留性・取水構造の改善などが必要となる。
新たな需要に対する水資源の配分、上流側圃場の耕作者との関係など、水利用に関する村としての合意形成が前提となり、調整役となる村の代表者や地方行政職員の協力も必要となる。
移植が一時期に集中して労働競合が生じないよう、作業計画を調整する必要がある。
乾季明けの6月中旬~7月初めの水利用を拡大するために、水資源の確保、既存ため池の貯留性・取水構造の改善などが必要となる。
インドシナ半島5カ国の農地面積の約73 %は灌漑施設が未整備であり(FAOSTAT、2016)、田越し灌漑がその多くを占める。本成果はそれらの田越し灌漑水田への活用が期待できる。
具体的データ
図1
表1
予算区分交付金[インドシナ農山村]
研究期間2011~2015
研究担当者池浦 弘、S. Phongchanmixay(ラオス国立農林研究所・農業研究センター)、S. Phonsagon(バンドン工科大学)、S. Inkhamseng(ラオス大学水資源学部)
発表論文Ikeura et. al. (2014) Paddy and Water Environment, DOI 10.1007/s10333 -015-0504-0
発行年度2015
オリジナルURLhttps://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2015_c01
収録データベース研究成果情報

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