マグロ類由来セレン化合物セレノネインの抗酸化能

マグロ類由来セレン化合物セレノネインの抗酸化能

タイトルマグロ類由来セレン化合物セレノネインの抗酸化能
要約セレノネインを0-1ppm(セレンとして)添加した飼料をブリ幼魚へ給餌した。セレノネインは赤血球、肝膵臓および骨格筋に、セレノメチオニンは血漿、肝膵臓および骨格筋に蓄積した。セレノネイン投与によって血漿および肝膵臓の抗酸化能が向上した。また、ヘモグロビンの酸素解離曲線が右方シフトし、低酸素適応への関与が推定された。
担当機関(国)水産総合研究センター 中央水産研究所 水産物応用開発研究センター 安全性評価グループ
連絡先045-788-7665
区分(部会名)水産
専門水産生物利用
研究対象ぶり
分類研究
背景・ねらいクロマグロ血液からセレン含有イミダゾール化合物を発見し、セレノネインと命名した(JBC, 285, 18134, 2010)。セレノネインは、マグロ類、カジキ類、ブリ類、ハクジラ類など海洋生物の血液に高濃度(>1 ppm)に存在し、可食部の筋肉にも含まれていた。陸上動物においてもヒト赤血球、ウシ肝臓、ブタ腎臓においても検出され、ピコモルからミリモルの広い濃度範囲で、動物細胞に対して生物活性を有することから、セレノネインは単なるセレン代謝物ではなく、セレンが栄養学的意義を果たす上で必要となる基本的な化学形態であると考えられる。低酸素適応を担う化合物であると推定されたことから、魚類への投与試験を行い、in vivoでの生体抗酸化作用および低酸素適応との関連性を調べた。
成果の内容・特徴1)ブリ幼魚に対して、セレノネイン(セレンとして、0-1 ppm含有)を添加した市販配合飼料を3週間給餌した。各組織における総セレンおよびセレノネイン含量、ヒドロキシラジカル量(ROS)を測定した。

2)セレノネインの投与によって、セレノネインは赤血球、肝膵臓、骨格筋などに蓄積した。血漿および肝膵臓のROS量は低下した。赤血球および肝膵臓グルタチオンペルオキシダーゼ活性が誘導された。生体抗酸化作用が促進された。ヘモグロビンの酸素解離曲線は、1 ppmセレノネイン投与区では、対照区と比べて右方シフトし、低酸素適応への関与が推定された。
成果の活用面・留意点本研究によって飼料添加物としてのセレノネインとセレノメチオニンとの差違が明らかになった。セレノネインは、活性酸素生成を抑制し、低酸素適応を向上させたことから、養殖魚飼料の添加物として有効である。セレノネインは赤身魚類の内臓に高濃度に含まれていることから、水産物加工の工場で廃棄される加工残滓を回収して、セレノネインを抽出する技術を現在開発中である。セレノネイン濃縮物を飼料素材として利用することによって、低酸素適応能を向上させる新しいタイプの飼料を提供することを目指している。将来に向けて、養殖魚の高品質化と養魚飼料の無魚粉化が進められようとしているが、健康で高品質な養殖魚の育成には、セレノネイン強化は必須であると考えられる。
具体的データ
図1
図2
図3
予算区分科研費 基盤(A)
研究期間2011~2014
研究担当者山下倫明、山下由美子、石原賢司、藪健史、今村伸太朗
発表論文Selenoneine in Marine Organisms. M Yamashita and Y Yamashita (2015), Hb25_Springer Handbook of Marine Biotechnology, pp.1059-1069.
発行年度2015
オリジナルURLhttp://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5216&YEAR=2015
収録データベース研究成果情報

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