ウンシュウミカンの2種類のGA20酸化酵素遺伝子は異なる発現特性を示す

ウンシュウミカンの2種類のGA20酸化酵素遺伝子は異なる発現特性を示す

タイトルウンシュウミカンの2種類のGA20酸化酵素遺伝子は異なる発現特性を示す
要約ジベレリン代謝に関わるGA20酸化酵素遺伝子はウンシュウミカンでは2種類(CuGA20ox1CuGA20ox2)存在し、それぞれの発現する時期、部位は大きく異なっていたことから、これらは成長や結実性などに関して異なる機能を有することが示唆される。
キーワードウンシュウミカン、結実性、ジベレリン、GA20酸化酵素、遺伝子発現特性
担当機関(国)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 カンキツ研究領域
連絡先029-838-6453
分類研究成果情報
背景・ねらい植物ホルモンの一種であるジベレリンは花芽形成や茎頂伸長作用を有し、ウンシュウミカンでは開花期の花芽でジベレリン含量が一過的に上昇することで単為結果性が高まり、結実性が向上すると考えられている。活性型ジベレリンGA1やGA4は前駆体ent-カウレンから早期13位水酸化経路または早期非水酸化経路を経て合成され、生体内の活性型ジベレリン量はGA2酸化酵素やGA3酸化酵素、およびGA13酸化酵素で主に制御されている一方、GA20酸化酵素は生体内ジベレリン量の制御に関わる鍵酵素であると考えられている。カンキツではGA20酸化酵素に2種類の遺伝子が存在することが近年明らかとなってきたが、生体内での機序や結実性との関わりは多くが不明である。ジベレリンの生合成と制御を分子レベルで明らかにすることは、単為結果性を備えた新たな無核性カンキツ品種育成や、隔年結果性の解消に貢献することが期待される。そこで本研究では高い単為結果性を有するウンシュウミカンのGA20酸化酵素遺伝子を単離してその特性と機能を明らかにすることで、結実性の向上に貢献することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 活性型ジベレリンの生合成に関わるGA20酸化酵素遺伝子はウンシュウミカンでは2種(CuGA20ox1CuGA20ox2)存在する。いずれも3つのエクソン、2つのイントロンからなり、CuGA20ox1CuGA20ox2の全長はそれぞれ1,408 bp、1,461 bp(エクソン長は1,151 bp、1,119 bp)である(図1)。
  2. ゲノム解析の結果から、CuGA20ox1はウンシュウミカンゲノム中に1コピー、CuGA20ox2は1~数コピーそれぞれ存在すると推定される(図省略)。
  3. CuGA20ox1は主に幼木相のさまざまな器官や成木相の葉、花序で発現が認められる一方、CuGA20ox2は成木相の花芽で高い発現が認められる(図2)。発現特性の比較から、両者は異なる生理的な役割を担っていることが示唆される。
  4. CuGA20ox1CuGA20ox2のcDNAを導入して恒常的に発現させたシロイヌナズナ組換え体では、ジベレリン早期13位水酸化経路の初期産物(GA19)と非早期水酸化経路早期生合成系の初期産物(GA24)の含有量は野生型と同等程度かそれ以下となるものの、それ以後の代謝産物(GA20、GA29、GA8とGA9、GA51、GA34)含量は野生型よりも増加する(図3)。これらの組換え体では主茎長も伸長していたことから、導入した2種のGA20酸化酵素遺伝子はいずれも生物的な機能を有し、ウンシュウミカンではジベレリン生合成量を変化させることで結実性などに関与することが示唆される。
成果の活用面・留意点
  1. 本遺伝子の発現と花芽や幼果における内生ジベレリン量の変動と制御を遺伝子レベルで解析することで、単為結果性や隔年結果性の制御に関する知見が期待される。
  2. 単離された2種の遺伝子は公的DNAデータベースに登録済みである(アクセッション番号LC056054、LC056055)。
具体的データ
図1
図2
図3
研究期間2008~2015
研究担当者古藤田信博、松尾哲、本多一郎、清水徳朗
発表論文Kotoda N. et al. (2015) Hort. J. doi:10.2503/hortj.MI-085
発行年度2015
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2015/fruit15_s13.html
収録データベース研究成果情報

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