ニホングリ「ぽろたん」における家畜ふん堆肥の施用が耐凍性に及ぼす影響

ニホングリ「ぽろたん」における家畜ふん堆肥の施用が耐凍性に及ぼす影響

タイトルニホングリ「ぽろたん」における家畜ふん堆肥の施用が耐凍性に及ぼす影響
要約植え付け時に過剰な家畜ふん堆肥を施用すると、秋冬期に樹体内水分含量および窒素含量が高まり、正常な自発休眠ステージの進行阻害および耐凍性低下が認められる。
キーワードニホングリ、家畜ふん堆肥、自発休眠、凍害
担当機関(国)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 栽培・流通利用研究領域
連絡先029-838-6453
分類研究成果情報
背景・ねらい近年、渋皮剥皮性が良いニホングリ「ぽろたん」の新植面積が増加している。その一方で、新植樹の凍害による枯死事例が各地で頻発している。苗の植え付け時に堆肥を施用することは一般的であるが、堆肥の野積みが禁止された1999年の家畜排せつ物法施行以降、流通する堆肥の全窒素含量が高いことが分かっている。一方、窒素の遅効きにより、芽は十分な耐凍性を得られず、凍害リスクが高まることが知られている。また、果樹の耐凍性は枝の含水率と負の相関があることが報告されている。そこで、クリ樹幼木の凍害発生要因を明らかにするために、ポット栽培樹を用いて、家畜ふん堆肥の施用が、樹全体の耐凍性、一年生枝内の含水率、窒素含有率に及ぼす影響および耐凍性獲得時期と一部重なる自発休眠覚醒期に与える影響について調査を行う。
成果の内容・特徴
  1. ニホングリ「ぽろたん」の灰色低地土ポット栽培樹を用い、植え付け時(3月)に堆肥を混和しない無堆肥区、家畜ふん堆肥を1:1(体積比)で混和する多堆肥区および通常使用する割合で家畜ふん堆肥と土壌の割合を1:9で混和する慣行堆肥区を設定する。耐凍性が低下し始める2月上旬(2012年)では、無堆肥区は-13℃に遭遇しても全樹が生存するが、多堆肥区は-10℃で半数の樹が枯死する。2月中旬(2013年)には、無堆肥区および慣行堆肥区は、-16℃に遭遇しても全樹が生存する。更に耐凍性が低下する3月上旬(2012年)になると、無堆肥区は-10℃に遭遇しても全樹が生存するが、多堆肥区は-7℃で半数の樹が枯死する。3月中旬(2013年)には、無堆肥区および慣行堆肥区は-13℃に遭遇しても全樹が生存する(表1)。
  2. 多堆肥区の一年生枝の含水率は、11月および12月には無堆肥区に対して有意に高まる。また、窒素含有率は、堆肥の混和割合に関わらず、無堆肥区に対し、2月頃まで高い傾向にある(図1)。
  3. 自発休眠覚醒期の目安とされる萌芽率が70%に達する日は、無堆肥区では12月28日であるが、多堆肥区では1月30日と、1ヶ月以上遅れる(図2)。
  4. 以上のことから、クリの植え付け時に過剰な堆肥の施用を行うことは、正常な自発休眠ステージの進行阻害および耐凍性低下の要因となると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究は、堆肥を通じた窒素施用が自発休眠および耐凍性に与える影響について明らかにしたものであり、植え付け時の堆肥の施用方法について有用な知見となる。
  2. ポット栽培樹を用いた試験結果であり、耐凍性の低下がみられない植え付け時の堆肥の混和割合を検討するには、圃場試験を行う必要がある。
具体的データ
表1
図1
図2
予算区分競争的資金(農食事業)
研究期間2011~2013
研究担当者阪本大輔、井上博道、草塲新之助、杉浦俊彦、森口卓哉
発表論文Sakamoto D. et al. (2015) Hort. J. 84(4):314-322
発行年度2015
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2015/fruit15_s06.html
収録データベース研究成果情報

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