補修履歴データに基づく農業用揚排水機場のメンテナンスコスト予測手法

補修履歴データに基づく農業用揚排水機場のメンテナンスコスト予測手法

タイトル補修履歴データに基づく農業用揚排水機場のメンテナンスコスト予測手法
要約農業用揚排水機場の機能保全計画を作成する際に、先に供用された機場の補修履歴の特性を用いてメンテナンスコストを簡易に予測する手法である。この手法により、機場の部位毎に対策費用を積み上げる作業に要する労力等を軽減することができる。
キーワード揚排水機場、補修履歴、メンテナンスコスト、予測手法、シナリオ比較
担当機関(国)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 施設工学研究領域
連絡先029-838-7572
分類研究成果情報
背景・ねらい全国の基幹的な農業用揚排水機場のうち標準耐用年数を超過している施設の割合は、2012年3月時点で68%と工種別で最も高く、今後もその割合は増加し、10年後には86%に達することが見込まれている。このため、農業用揚排水機場の更新と機能保全に関する計画を効率的に作成する手法の構築は、喫緊の課題の一つとなっている。そこで必要とされるメンテナンスコストの比較を行う作業には、相当の時間や労力が必要となる。一方、将来予測には、過去の実績データが参考となることから、補修履歴情報を体系的に収集・蓄積する取組が行政機関によって進められている。このような背景から、補修履歴データに基づき農業用揚排水機場のメンテナンスコストを簡易に予測する手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 供用期間の長い農業用揚排水機場において過去に支出された補修費の履歴から経年変化の特性を抽出し、それを用いて供用期間の短い機場における将来の補修費の支出額を予測する手法である(図1)。ポンプ設備の台数等が異なる地区を同列に分析するために、補修費累計額の伸び率の特性に着目する(図2)。伸び率は、初期不良等が生じる可能性のある供用初年度を除外し、供用後2~6年目の5年間の補修費を基準に計算する(古い記録等が散逸している場合には、7~11年目や12年~16年目の5年間の補修費を基準とすることもできる)。補修費累計額の計算には,異なる年度の補修費の支出を国が公表する支出済換算係数を用いて補正して積算する。
  2. 伸び率の特性は指数関数で近似し、シナリオ1~3は現行の積み上げ方式により算出する(図3)。このうち、算出に詳細な作業を要するシナリオ3について,本手法(抽出特性を適用した予測)で作業を代替する。
  3. これにより、診断結果等から余寿命を予測し部位(羽根車、主軸、軸受、ギヤ、ストレーナ等)毎に対策費用を全て積み上げる煩雑な作業の簡略化と省力化が可能となる。
  4. 本手法による伸び率の特性の抽出(近似式の作成)とシナリオ比較を簡単に行えるツールを,ホームページで提供する。ツールは、汎用性のあるMicrosoft Excel 2013がインストールされているPCにダウンロードすることにより利用が可能となる(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 国・地方自治体・土地改良区等の機能保全計画を担当する技術者が、メンテナンスコストを検討する際の参考情報として利用できる。
  2. 本成果の適用にあたっては、さらに多くのデータを収集するとともに、そのデータを機場の保全管理の態様等に即して分類した上で特性を抽出するなど、より精度の高い適用方法を検討する必要がある。
  3. 機場の保全管理の態様等は地区毎に異なるため、本成果を画一的に用いることのないよう留意し、各地区の実状に即して選択的に適用していく必要がある。
具体的データ
図1
図2
図3
図4
予算区分交付金
研究期間2013~2015
研究担当者水間啓慈、國枝正
発表論文水間(2015)農村計画学会誌、34(論文特集号):273-278
発行年度2015
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2015/nkk15_s04.html
収録データベース研究成果情報

研究成果情報アクセスランキング

Copyright 2017 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat