放線菌の生産するモデル二次代謝化合物「アクチノロージン」の生合成経路

放線菌の生産するモデル二次代謝化合物「アクチノロージン」の生合成経路

タイトル放線菌の生産するモデル二次代謝化合物「アクチノロージン」の生合成経路
要約放線菌の生産するモデル二次代謝化合物「アクチノロージン」の後期生合成過程である基本骨格の酸化及び二量化はactV遺伝子群によって行われる。また、本化合物の生合成に必須な最少遺伝子セットは13遺伝子からなる。
キーワード放線菌、二次代謝、アクチノロージン、生合成、化学修飾酵素
担当機関(国)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 食品バイオテクノロジー研究領域
連絡先029-838-7991
分類研究成果情報
背景・ねらいアクチノロージン(actinorhodin: ACT)は、ベンゾイソクロマン(BIQ)系抗生物質に属する芳香族ポリケタイド化合物であり(図1(A))、放線菌Streptomyces coelicolor A3(2)によって生産される。本化合物は、中性~アルカリ性領域において特徴的な青色を呈し(図1(B))、その生産性の有無を視覚的に容易に判別できることから、放線菌における二次代謝化合物生合成研究及び分子生物学的手法開発の強力なツールとなっている。ACT生合成研究においては、ポリケタイド合成酵素による8分子のmalonyl-CoAの縮合から中間体6-deoxy-dihydrokalafungin(DDHK)までの生合成初期過程は詳細に解明されている。一方、DDHKから最終産物であるACTに至るまでの後期生合成過程は、関連化合物の化学的取扱いの難しさもあり、不明な点が多く残されている。本研究は、ACT後期生合成過程を明らかにすることを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. これまで、DDHKの6位への酸素導入にはActVA-ORF6タンパク質が関与すると考えられていたが、実際にはActVA-ORF5及びActVBタンパク質からなる二成分酸化酵素系(ActVA-5/ActVB)が主に触媒しており、ActVA-ORF6の寄与はほとんど無い(図1(A))。
  2. ActVA-5/ActVB酵素系は、DDHKの6位酸化に続いて起こる8位の酸化も触媒する多機能酵素である(図1(A))。BIQ化合物の中には8位の水酸基が無い類縁体が存在するが、それらの生合成に関与するActVA-5/ActVB相同酵素は6位の酸化のみを触媒する単機能酵素である。
  3. actVA-ORF4遺伝子の破壊体がACTを全く生産せず、替わりにACTの単量体に相当する化合物を蓄積することから、本遺伝子は二量化反応に必須である(図1)。
  4. 遺伝学的解析から、actVA-ORF3遺伝子も二量化反応に関与することが示されている。
  5. ACT生合成遺伝子クラスターを構成する22の遺伝子のうち、actII-ORF4(転写因子)、actI-ORF1(ケト合成酵素)、actI-ORF2(鎖長制御因子)、actI-ORF3(アシルキャリヤータンパク質)、actIII(ケト還元酵素)、actVII(アロマターゼ)、actIV(環化酵素)、actVI-ORF1(還元酵素)、actVI-ORF2(エノイル還元酵素)、actVA-ORF5(フラビン依存性酸化酵素)、actVB(NADH:フラビン酸化還元酵素)、actVA-ORF4(二量化に関与)、actVA-ORF3(二量化に関与)の13遺伝子がACT生産に必要な最少遺伝子セットである(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. ActVA-5/ActVB酵素系は、様々な3環性芳香族化合物の酸化反応に応用できる可能性がある。
  2. ActVA-ORF3及び-ORF4タンパク質の具体的な機能については更なる研究が必要である。
具体的データ
図1
図2
予算区分交付金
研究期間2011~2015
研究担当者岡本 晋、田口貴章(武蔵野大薬)、市瀬浩志(武蔵野大薬)
発表論文1)Taguchi T. et al. (2011) ChemBioChem 12(18):2767-2773
2)Taguchi T. et al. (2012) Bioorg. Med. Chem. Lett. 22(15):5041-5045
3)Taguchi T. et al. (2013) Chem. Biol. 20(4):510-520
4)Taguchi T. et al. (2015) J. Antibiot. 68(7):481-483
発行年度2015
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2015/nfri15_s20.html
収録データベース研究成果情報

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