遺伝子組換えトウモロコシ3272系統に特異的な定量検知法

遺伝子組換えトウモロコシ3272系統に特異的な定量検知法

タイトル遺伝子組換えトウモロコシ3272系統に特異的な定量検知法
要約遺伝子組換えトウモロコシ3272系統に適したDNA抽出法の選抜を行い、リアルタイムPCRによる3272系統に特異的な定量検知法を確立し、標準分析法として利用可能であることを示す。
キーワード遺伝子組換え、検知、PCR、DNA抽出、妥当性確認
担当機関(国)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 食品分析研究領域
連絡先029-838-7991
分類研究成果情報
背景・ねらい適切に分別生産流通管理が行われている非組換えトウモロコシおよびダイズに対し、厚生労働大臣が定める安全性審査済みの遺伝子組換え作物が意図せず混入しても、その割合が5%以下であれば、遺伝子組換えでない旨の表示が可能または遺伝子組換えに係る表示自体の省略が可能である。この表示が適切であるかどうかを確認するために、混入率を定量する検査法を確立する必要がある。耐熱性α-アミラーゼ遺伝子を導入した遺伝子組換え(GM)トウモロコシ3272系統には、現行の定量スクリーニング法で指標とするカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター由来の配列および除草剤耐性トウモロコシGA21の特異的配列が含まれていないため、現行検知法では混入を検知できないことから、3272系統を特異的に定量可能な検査法が必要とされている。
成果の内容・特徴
  1. わが国における遺伝子組換え検査の標準分析法には、利用可能なDNA抽出キットとして、キアゲン社のDNeasy Plant Maxi kit(Maxi kit)、DNeasy Plant Mini kit(Mini kit)、Genomic-tip 20/Gおよびニッポンジーン社のGM quickerが記載されている。従来のGMダイズおよびトウモロコシ系統では、これら全ての抽出法で非組換え種子と有意差なくDNAが抽出可能であるが、3272系統についてはMaxi kitおよびMini kitでは、非組換え種子に比べて抽出DNA量が有意に低くなる。一方、GM quickerおよびGenomic-tip 20/Gを用いた場合には、このような抽出量の低下はみられない(表1)。したがって、3272系統を含む試料を定量する際には、非組換えトウモロコシと有意に抽出量の差がみられるMaxi kitやMini kitではなく、そのような差がみられないGM quickerあるいはGenomic-tip 20/Gを用いることが望ましい。特に簡易性の面からGM quickerの利用が推奨される。
  2. 3272系統を1、5、10、50および100%含む試料からMaxi kitを用いて抽出したDNA量の比較において、DNA抽出量の低下は、5%以上混入した場合に有意に現れる(表2)。
  3. 本研究では3272系統特異的なプライマーおよびプローブを用いる(図)。配列は以下の通り、Forwardプライマー:5'-TCATCAGACCAGATTCTCTTTTATGG-3'、Reverseプライマー: 5'-CGTTTCCCGCCTTCAGTTTA-3'、TaqManプローブ:5'-FAM-ACTGCTGACGCGGCCAAACACTG-TAMRA-3'。
  4. 混入率算出の際に必要となる内標比は、リアルタイムPCR機種に依存的である。国内10機関の協力を経て実施した試験室間共同試験の結果、3272定量分析法の内標比は、リアルタイムPCR装置ABI PRISM 7900 HTでは0.60、ABI PRISM 7500では0.59である。
  5. 上記試験室間共同試験におけるブラインド定量試験の結果、全ての濃度において室間再現相対標準偏差は基準を満たしており、本定量分析法の定量下限値は、わが国における非意図的な混入閾値である5%の十分の一(0.5%)以下と見積もられる(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 遺伝子組換えトウモロコシの標準分析法において、適切なDNA抽出法の選択も含む本3272系統特異的定量分析法の利用を提案する。
具体的データ
表1
表2
表3
予算区分委託プロ(国立医薬品食品衛生研究所)
研究期間2011~2015
研究担当者高畠令王奈、真野潤一、橘田和美
発表論文Takabatake R. et al. (2016) Food Hyg. Saf. Sci. 57(1):1-6
発行年度2015
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2015/nfri15_s04.html
収録データベース研究成果情報

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