タイトル | 暖地春まき栽培に適するだったんそば品種候補「九州D6号」の育成 |
要約 | だったんそば「九州D6号」は、耐倒伏性に優れ暖地の春まきおよび秋まき栽培が可能であり、春まき栽培でより多収である。 |
キーワード | だったんそば、春まき栽培、二期作栽培、わい性、耐倒伏性 |
担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター 作物開発・利用研究領域 |
連絡先 | 096-242-7682 / q_info@ml.affrc.go.jp / q_info@ml.affrc.go.jp |
分類 | 研究成果情報 |
背景・ねらい | だったんそば(Fagopyrum tataricum Gaertn)は食品機能性が高いことで知られ、九州地域でも品種開発の要望が高いが、これまで暖地向けのだったんそば品種は開発されていない。暖地で新たにだったんそばを栽培する場合、温暖な気候を生かした春まきおよび秋まきの、両栽培が可能な品種の利用が効果的である。また、九州地域は台風を始めとする強風被害を受けやすいため、春まき栽培のみならず秋まき栽培においても耐倒伏性を有する品種開発が望まれる。そこで、暖地の春・秋まき両方の栽培が可能な耐倒伏性に優れる系統の開発を行う。 |
成果の内容・特徴 | - だったんそば品種候補系統「九州D6号」はだったんそば遺伝資源の「Rotundatum」に変異処理した後代から、選抜、固定した系統である。
- 「九州D6号」は「Rotundatum」や北海道で主に栽培される「北海T8号」より草丈が低いわい性系統であり、耐倒伏性に優れる(図1、表1)。
- 「九州D6号」は「Rotundatum」、「北海T8号」および「ダルマだったん」よりも生育日数が短く、早生である(図1)。
- 「九州D6号」は春まき栽培で多収であり、秋まき栽培でも既存品種並みの収量がある(図2)。容積重は既存品種並みで千粒重はやや軽い(図2、表1)。
- 現地栽培試験(大分県豊後高田市)では、「九州D6号」は春まきで多収、秋まきで既存品種並みの収量である(図3)。
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成果の活用面・留意点 | - だったんそば「九州D6号」はお茶や麺などに利用でき、新たな産地形成に貢献できる。大分県豊後高田市において約20haの栽培面積が見込まれている。
- 暖地では、一般的な普通そばと同様の栽培方法で栽培が可能であり、春まき、秋まきを連続した二期作栽培が可能となる。また、九州地域以外の温暖な地域でも栽培できる。
- 秋まき栽培では、草丈が伸びにくくコンバイン収穫しづらいので、栽培期間を十分に確保することが重要である。
- 耐湿性は強化されていないので、排水対策を万全にする必要がある。
- ルチン含量は既存品種並であるが、分解されることにより苦味が生じるので、苦味のない麺として利用する場合には、苦味を発生させない加工方法を用いる必要がある。
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具体的データ |
図1 |
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図2 |
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表1 |
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図3 |
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予算区分 | 交付金 |
研究期間 | 2007~2015 |
研究担当者 | 松井勝弘、鈴木達郎、手塚隆久、原貴洋 |
発表論文 | 2016年度品種登録出願予定(作物推進会議新品種候補審査会決定済み) |
発行年度 | 2015 |
オリジナルURL | http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2015/karc15_s22.html |
収録データベース | 研究成果情報 |