夏播き飼料用トウモロコシにおけるワラビー萎縮症発生地域と発生量の予測地図

夏播き飼料用トウモロコシにおけるワラビー萎縮症発生地域と発生量の予測地図

タイトル夏播き飼料用トウモロコシにおけるワラビー萎縮症発生地域と発生量の予測地図
要約夏播き飼料用トウモロコシにおけるワラビー萎縮症の発生地域は温暖化の進行に伴って拡大すると予想される。九州、四国、中国地方では2060年ごろに、関東地方の太平洋沿岸部では2080年ごろに現在の耐性品種による被害の軽減が困難になると考えられる。
キーワードフタテンチビヨコバイ、温暖化、メッシュ気候値、飼料作物、全球気候モデル
担当機関(国)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター 生産環境研究領域
連絡先096-242-7682 / q_info@ml.affrc.go.jp / q_info@ml.affrc.go.jp
分類研究成果情報
背景・ねらい現在、九州中南部の夏播き飼料用トウモロコシ栽培において、カメムシ目昆虫フタテンチビヨコバイによって引き起こされるワラビー萎縮症の被害が発生している。その被害発生程度はフタテンチビヨコバイの発生量に依存しており、本種の多発生時には既存の耐性品種でも被害が発生するものの、現状では、耐性品種の利用や播種時期の調整などの耕種的防除法を実施することで、被害をほぼ回避することができる。

過去の被害地域の拡大経緯やフタテンチビヨコバイの高い高温耐性を考慮すると、本症状の発生地域や発生量は温暖化の進行に伴って深刻化し、将来的な未発生地域への被害拡大や既存の耐性品種における被害の常態化が懸念される。そこで、国内における2100年までのフタテンチビヨコバイの分布地域とワラビー萎縮症の被害発生量の変動を、全球気候モデルから得られた温暖化シナリオデータに基づいて予測する。
成果の内容・特徴
  1. 現在一般的に栽培されている感受性品種と耐性品種の播種時におけるフタテンチビヨコバイ成虫の要防除水準は、それぞれ21頭/m2と74頭/m2である(データ略)。
  2. 2020年ごろのフタテンチビヨコバイの発生状況は現在と同様、九州中南部が主な発生地域であるが、四国から関東にかけての太平洋沿岸部や中国地方の日本海側でも本種の生息や感受性品種における被害が発生する可能性がある(図1)。
  3. 2040年ごろには、九州中南部や四国、紀伊半島および房総半島の一部で、既存の耐性品種による被害の軽減が困難になると予想される。これは気温上昇によりフタテンチビヨコバイの発生量が耐性品種における要防除水準を上回るためである。
  4. 2060年ごろまでには、九州、四国、中国地方の大部分で既存の耐性品種による被害軽減は不可能となり、フタテンチビヨコバイの分布は関東平野の大部分のほか東北地方の一部へも拡大する可能性がある。
  5. 2080年ごろになると、既存の耐性品種は関東地方でも利用できなくなり、東北地方の太平洋側では感受性品種の利用ができなくなると予想される。
  6. 2100年ごろには本州以南のほぼ全域でフタテンチビヨコバイは生息可能となり、ワラビー萎縮症の被害も激化すると考えられる。ただし、北海道では渡島半島の一部を除き、本種の生息は不可能であると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 得られた予測地図は、今後の飼料用トウモロコシの耐性・抵抗性品種の育成目標の策定に活用できるほか、各地域におけるフタテンチビヨコバイの侵入警戒対策を推進するための基礎的資料となる。
  2. 本成果は、フタテンチビヨコバイが生息に適した地域に迅速に分布を拡大することを前提とした予測結果である。
具体的データ
図1
予算区分交付金
予算区分委託プロ(気候変動)
研究期間2011~2015
研究担当者松倉啓一郎、吉田和弘、神代瞬(佐賀大)、松村正哉
発表論文1)Matsukura K. et al. (2015) Crop Prot. 75:139-143
2)Matsukura K. et al. (2016) Popul. Ecol. 印刷中
発行年度2015
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2015/karc15_s11.html
収録データベース研究成果情報

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