有明海におけるアゲマキ資源回復に向けた種苗放流手法の改善

有明海におけるアゲマキ資源回復に向けた種苗放流手法の改善

タイトル有明海におけるアゲマキ資源回復に向けた種苗放流手法の改善
要約佐賀県では、種苗放流によるアゲマキ資源回復に取り組んでおり、種苗生産技術は確立したものの、放流技術については、放流直後に急激な密度の減少がみられることもあり、さらなる技術の成熟が必要である。本研究では、放流直後に被覆網を敷設し、アゲマキ稚貝の移動を制限した結果、高密度に生残することが分かった。この結果を活用した放流技術の改善により、アゲマキ資源回復の加速化が期待される。
担当機関佐賀県有明水産振興センター 資源研究担当
区分(部会名)水産
専門資源生態
研究対象他の二枚貝
分類研究
背景・ねらいアゲマキは佐賀県有明海の重要な二枚貝であったが、1988年頃から急激に資源が減少し、1994年以降ほとんど漁獲がない。佐賀県では、種苗放流により母貝団地を創出し、再生産サイクルの回復によるアゲマキ資源回復をめざし、1996年から種苗生産・放流技術の開発に取り組んできた。これまでに、種苗生産手法については一定の技術が確立したものの、放流手法については、放流時の気象海況・種苗の健苗性などにより、生残率のばらつきが多く、近年では平均殻長7~8mmで放流した稚貝が、1か月後にほとんどいなくなる現象が発生している。本研究では、放流後の生残率向上の取組のひとつとして、稚貝の移動を物理的に制限する囲網および被覆網を敷設する実験を行って散逸防止効果を明確にし、種苗放流技術の改善について検討した。 
成果の内容・特徴
  1. 実験方法

    実験は佐賀県藤津郡太良町大浦に位置する牟田干拓で行った(図1)。実験に先立ち、2015年の7~9月に砂を干潟に入れて耕耘し、含水率が60%程度になるように漁場造成を行った。この漁場造成区内に、1m間隔で直径2cm、高さ約100cmの塩化ビニル管を立てた区画(塩ビ区)、塩ビ区の周りを目合1mm・高さ約30cmのネットで囲んだ区画(囲網区)、さらに、囲網区に1mmの目合のネットで上から被覆した区画(被覆網区)の3実験区を設定した。それぞれの実験区に、2015年の10月から平均殻長8mmの人工種苗を1,000個/m2の密度で放流し、実験を開始した。放流2週間後及び1カ月後に15cm×15cmの方形枠で1実験区あたり5回の枠取りを行い、生残密度を比較した。

  2. 結果

    各実験区の2週間後の生残密度は、被覆網区と囲網区で244個/m2および233個/m2と同程度であり、塩ビ区でのみ78個/m2と低くなった(図2)。1ヶ月後の実験終了時の生残密度は、被覆網区で189個/m2と最も高く、次いで囲網区の100個/m2であり、塩ビ区では56個/m2と最も低くなった(図3)。この結果から、被覆網の敷設は、放流後の密度減少要因と推測されてきた散逸を大きく防ぐことが可能であり、種苗放流によるアゲマキ資源回復の大きな一手となると考えられた。
成果の活用面・留意点アゲマキ資源回復の加速化に活かされる。
予算区分水産庁補助事業
研究期間2015
研究担当者佃政則
発表論文佐賀県有明水産振興センター研究報告第28号
発行年度2016
オリジナルURLhttp://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=6068&YEAR=2016
収録データベース研究成果情報

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