米ぬか施用による土壌の物理・化学性の変化がコナギの生育を抑制する

米ぬか施用による土壌の物理・化学性の変化がコナギの生育を抑制する

タイトル米ぬか施用による土壌の物理・化学性の変化がコナギの生育を抑制する
要約土壌極表層の水中沈定容積とコナギの個体数には有意な負の相関が認められる。移植時に米ぬかを施用すると、移植後1ヶ月間の前半では土壌溶液の電気伝導度(EC)、後半では水中沈定容積の増大により、補完的にコナギの生育が抑制される。
キーワード水中沈定容積、コナギ、有機農業、水田、EC、米ぬか
担当機関(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター 土壌肥料研究領域 水田土壌管理グループ
連絡先029-838-8481
分類研究成果情報
背景・ねらい水稲の有機栽培において、コナギは最大の難防除雑草である。広く普及している米ぬか施用による防除は有効ではあるが、その機作は充分に解明されていない。これまでの研究では、有機酸等の生育阻害物質量と関連する土壌溶液の電気伝導度(EC)が大きいほどコナギの発芽が抑制されることが明らかになっている(2012年度研究成果情報)。土壌の物理性については、「トロトロ層」の形成が種子の埋没を促し、結果的に光が遮断されることによって発芽が抑制されるといわれているが、評価方法については確立されていない。そこで、土壌極表層の水中沈定容積(水中で自然に沈降した土壌の占める体積に相当)と土壌溶液のECを用いて、米ぬか施用によるコナギの生育抑制の機作について明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 有機栽培圃場の中で雑草防除がなされていない周縁部は、土壌によって雑草の生育が大きく異なっている(図1)。雑草の中では、コナギの生育が圧倒している。この部分ではイネは作付けされず、米ぬかなどの有機物も施用されていないので、この違いは有機物の分解生成物(例えば有機酸等の化学物質)等の化学的要因が影響している可能性は小さい。
  2. 水田から採取した生土(乾土10g相当)を50mLメスシリンダーに入れて定容した後、激しく振盪、静置し、一定となった体積の値を、乾物重で除したものが「水中沈定容積」である。周縁部において雑草の発生状況が異なる圃場の土壌極表層(数ミリ程度)の水中沈定容積とコナギの個体数との間には、有意な負の相関が認められる(図2)。
  3. 水稲栽培条件下において、米ぬかを施用するとコナギの個体数は減少する傾向がある(図3)。
  4. 米ぬかの施用により、水中沈定容積は無施用区に比べて高くなり、次第に増加する(図4)。特に移植後1ヶ月間では、その後半に米ぬか無施用区との違いが顕著になる。一方、米ぬかを施用すると、土壌溶液のEC値は大きくなるが、無施用区との差は移植直後が最大で次第に減少する傾向があり、移植後1ヶ月間では、その前半に効果がある。すなわち、化学的要因と物理的要因が補完的にコナギの生育を抑制している。
成果の活用面・留意点
  1. 水中沈定容積とECを測定することにより、有機栽培圃場の土壌が有する雑草抑制能を事前に評価する手法の開発に貢献する。
  2. コナギの発芽には、土壌の物理的要因、化学的要因の他、微生物など生物的要因、種子の生理的要因等が関係していると推察されるため、現在、さらに他の要因についても検討中である。
予算区分交付金
研究期間2012~2016
研究担当者野副卓人、内野彰、三浦重典
発表論文Nozoe T. et al. (2016) Plant Prod. Sci. 19(2):238-245
発行年度2016
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/carc/2016/carc16_s05.html
収録データベース研究成果情報

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