タイトル | 新規な硝化菌(アンモニア酸化細菌)の発見 |
要約 | 強酸性茶園土壌から酸性環境に耐性を持つ新規硝化菌(アンモニア酸化細菌)を分離し、新属新種であることを提案する。 |
キーワード | 硝化、アンモニア酸化細菌、茶園、強酸性土壌 |
担当機関 | (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター 物質循環研究領域 物質変換解析ユニット |
連絡先 | 029-838-8240 |
分類 | 研究成果情報 |
背景・ねらい | 農地に施肥される窒素肥料は硝化菌の作用により硝酸性窒素に変換されるため、溶脱しやすくなり、その結果、地下水汚染や水系の富栄養化を引き起こす。また、硝化(アンモニア酸化)の過程で、強力な温室効果ガスである一酸化二窒素が発生する(図1)。したがって、窒素肥料の損失を防ぎ環境への負荷を減らすために、農地における硝化作用をコントロールする必要がある。一般にアンモニア酸化細菌は酸性条件下では働かないとされているが、茶園土壌のように施肥量が多く強酸性化した土壌においては、一酸化二窒素発生量は多いことが知られている。そこで、適用範囲の広い硝化抑制技術を開発するため、強酸性の土壌中で機能している硝化菌を分離して、その性質を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | - 強酸性茶園土壌から分離した新規なアンモニア酸化細菌は(図2)、pH2~6の強酸性条件に対して耐性であることを示している。
- アンモニア酸化細菌はこれまでに3つの属しか知られていない。分離したアンモニア酸化細菌は海洋や塩湖にしか見られないアンモニア酸化細菌に形態は類似していたが、生理的性質とゲノムの特徴が大きく異なることから新属新種であると考えられる(図3)。
- 分離に用いた茶園土壌から抽出したDNAとmRNAに含まれるアンモニア酸化細菌に特有の酵素遺伝子の存在量が他のアンモニア酸化菌より多いことから(図4)、分離したアンモニア酸化細菌が土壌中で機能していることは明確である。
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成果の活用面・留意点 | - 今回分離したアンモニア酸化細菌のゲノム情報や生理的性質に関するデータを利用し、より効果の高い硝化抑制剤の開発が可能である。
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予算区分 | 競争的資金(科研費、農食事業) |
研究期間 | 2012~2016 |
研究担当者 | 早津雅仁、多胡香奈子、内山郁夫(基礎生物研)、豊田敦(遺伝研)、王勇、下村有美(現:協同乳業)、廣野祐平、野中邦彦、栗栖太(東大)、秋山博子、伊藤武彦(東工大)、高見英人(海洋研究開発機構) |
発表論文 | Hayatsu M. et al.(2017)The ISME J. (2017) doi:10.1038/ismej.2016.191 |
発行年度 | 2016 |
オリジナルURL | http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/niaes/2016/niaes16_s05.html |
収録データベース | 研究成果情報 |