バレイショのそうか病対策のための土壌酸性の簡易迅速診断手法

バレイショのそうか病対策のための土壌酸性の簡易迅速診断手法

タイトルバレイショのそうか病対策のための土壌酸性の簡易迅速診断手法
要約簡略化したpH(KCl)測定法は土壌酸性を簡易迅速安価に評価できる手法であり、バレイショのそうか病対策のための土壌酸性の指標として、生産者自身による測定や現場での即時診断に活用できる。
キーワードバレイショ、そうか病、土壌酸性、簡易迅速診断、pH(KCl)
担当機関(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター 土壌肥料研究領域 土壌診断グループ
連絡先029-838-8877
分類普及成果情報
背景・ねらいバレイショのそうか病は土壌のアルカリ化により発生が助長されるため、土壌酸性の管理が重要である。従来から、土壌酸性の指標としてアルミニウムイオン量を反映する交換酸度y1が有用とされ、そうか病対策の基準としてy1≧5(長崎県)などが提示されている。しかし、y1は測定が煩雑で現場での土壌管理に利用しにくいため、そうか病を警戒するあまり土壌の過度の酸性化や、石灰や堆肥(土壌の酸性を弱める)の不施用による地力の低下が問題となっている。そこで、y1と密接に関係するpH(KCl)(2013年度農研機構研究成果情報)の測定法を簡略化(精密な操作の省略や分析時間の短縮など)し、普及担当者や生産者自身による現場測定を可能とする手法を開発し、簡易測定マニュアルを作成する。併せて、pH(KCl)とそうか病の発病程度の関係解析により、そうか病抑制のためのpH(KCl)の基準値を示し、pH(KCl)簡易測定による土壌管理を可能にする。
成果の内容・特徴
  1. pH(KCl)測定において、KCl溶液の調製や試料の秤取は大雑把な操作を行っても測定値への影響は小さい(表1)。溶液温度の影響は比較的大きいので、現場測定では溶液の温度管理に注意する。表1の条件範囲なら、圃場で採取した生土を現場測定(図1)しても、値は実験室での風乾土による定法の値±0.1の範囲に収まる(図2)。
  2. バレイショ産地における現地発病調査や栽培試験の結果から、そうか病対策のため適切な土壌pH(KCl)は鹿児島県長島地域(赤黄色土)および徳之島・沖永良部(赤黄色土、暗赤色土)では4.0(図3)、長崎県島原半島(赤黄色土、淡色黒ボク土)では3.8-4.0と算定される。
  3. 測定に用いる試薬や器具は全て通信販売や店舗で購入でき、2,500円程度の試薬で66点を測定できる(2017年11月現在)。pH計は、室内で精密に較正して測定する場合は数千円の機種(較正精度の面から小数二桁表示のタイプに限る)も使用可能だが、扱いやすさや現場での測定精度からの2万数千円程度の理化学用機種が望ましい。土壌に突き刺して直接測定するタイプのpH計はこの目的には使用できない。理化学用pH計を生産者が購入しても、20数点を測定すれば1検体1,000円の依頼分析より安価になる。
普及のための参考情報
  1. 普及対象:バレイショに関係する普及指導担当者および生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:長崎県の島原半島、鹿児島県の長島地域、徳之島、沖永良部(合計3900ha)および他のバレイショ産地
  3. その他:
    1)測定法の詳細についてはマニュアル(Web掲載および冊子版)を2017年度内に公開する。測定手順の動画をNARO channelで公開しているので、これも参照されたい(https://www.youtube.com/watch?v=15r7gMEkSak)。
    2)pH(KCl)が基準値より低い場合は石灰施用等による酸性緩和の対象となる。基準値より高い場合は資材施用による矯正が難しいため、施肥や降雨の影響でpH(KCl)が下がるのを待つ。pH(KCl)が下がりにくい腐植質のアロフェン質黒ボク土(産地としては北海道の十勝や鹿児島県の大隅半島)や、輪作体系で後作への影響がある場合は酸度増大によるそうか病抑制は適切でない。 
予算区分競争的資金(農食事業)
研究期間2015~2017
研究担当者久保寺秀夫、山口典子、草場敬、笛木伸彦(北海道立総合研究機構)、田村元(北海道立総合研究機構)、渡邊祐志(北海道立総合研究機構)、茶谷正孝(長崎農林技開セ)、白尾吏(鹿児島農総セ)、餅田利之(鹿児島農総セ)、森清文(鹿児島農総セ)、長友誠(鹿児島農総セ)、石川弘大(北海道農政部)、塚本清音(北海道農政部)、松田悟(北海道農政部)、森井悠太(十勝農協連)、松尾まゆみ(長崎県島原振興局)、脇門英美(鹿児島農総セ)
発表論文1)久保寺ら(2014)土肥誌、85(1):48-51
2)農研機構(2018)「バレイショ畑の土壌酸性管理のためのpH(KCl)簡易測定法」http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/pub2016_or_later/pamphlet/tech-pamph/080431.html (2018年3月30日)
発行年度2017
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result110/2017/17_086.html
収録データベース研究成果情報

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