タイトル | ブドウ「安芸クイーン」への環状はく皮は着色関連遺伝子の発現を促進させる |
要約 | 赤色系ブドウ「安芸クイーン」主枝への環状はく皮により、着色関連遺伝子の発現が促進し、果皮色が向上する。「安芸クイーン」の果皮色向上に有効な環状はく皮時期である着色開始前から多くの着色関連遺伝子の発現量が増加し始める。 |
キーワード | 遺伝子発現、果皮色、環状はく皮、着色不良、ブドウ |
担当機関 | (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門 ブドウ・カキ研究領域 ブドウ・カキ育種ユニット |
連絡先 | 029-838-6453 |
分類 | 研究成果情報 |
背景・ねらい | ブドウ「安芸クイーン」等の赤色系品種の普及上の課題として、果実成熟期の高温等により品種本来の果皮色とならない着色不良果の多発がある。これまでに様々な果皮色向上技術が報告されているが、その中でも高い効果が期待できる技術の一つに環状はく皮がある。環状はく皮により果皮色が向上する原因については、生理学的な知見がいくつか報告されているが、遺伝子レベルの制御機構に関する知見は少ない。そこで、「安芸クイーン」への環状はく皮が、果皮色と着色関連遺伝子の発現量に及ぼす影響を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | - 「安芸クイーン」の着色開始前(満開35日後)における主枝への環状はく皮により、果皮色(カラーチャート値、果皮アントシアニン含量)が無処理区と比較して著しく向上する(図1)。
- 果皮色向上に有効な環状はく皮時期である着色開始前から着色関連遺伝子の発現量が増加し始める(図2)。
- 環状はく皮により、成熟期間中の着色関連遺伝子の発現が無処理区と比較して概ね有意に促進することで、期間全体を通した累積発現量が高くなる(図2、表1)。
- 果皮アントシアニン含量と多くの着色関連遺伝子の成熟期間全体を通した累積発現量との間に正の相関(相関係数(r):0.72~0.91)が認められる(データ略)。
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成果の活用面・留意点 | - 「安芸クイーン」等の赤色品種や「ピオーネ」等の紫黒色品種の高品質安定生産のための基礎資料として利活用できる。
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予算区分 | 交付金 |
研究期間 | 2011~2017 |
研究担当者 | 東暁史、柚木秀雄(群馬農技セ)、吉岡正明(群馬農技セ)、薬師寺博 |
発表論文 | 柚木ら(2016)園芸学研究、15(4):433-438 |
発行年度 | 2017 |
オリジナルURL | http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nifts/2017/nifts17_s11.html |
収録データベース | 研究成果情報 |