赤外スペクトルを用いた食肉タンパク質の熱変性および酸変性の新規簡易検出法

赤外スペクトルを用いた食肉タンパク質の熱変性および酸変性の新規簡易検出法

タイトル赤外スペクトルを用いた食肉タンパク質の熱変性および酸変性の新規簡易検出法
要約新たに開発した赤外スペクトルマーカーを用いることで、食肉組織中のタンパク質の熱変性とpH変化を分離して同時に評価できる。赤外分光顕微鏡を用いれば数10μmの空間分解能で熱変性とpHを評価可能である。
キーワード赤外分光、赤外顕微鏡、筋線維タンパク質、熱変性、酸変性
担当機関(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門 畜産物研究領域 食肉品質ユニット
連絡先029-838-8684
分類研究成果情報
背景・ねらい食肉由来の良質なタンパク質の摂取は食事の栄養価を向上させ、高齢者の低栄養状態の改善などに有効である。しかし、調理過程で加熱し過ぎたり、胃においてpHが十分に下がらなかったりすると、筋線維タンパク質の凝集や食肉組織への消化酵素ペプシンの作用低下によりタンパク質の消化速度が下がり、消化不良や胃への負担につながる可能性がある。
そこで、食肉タンパク質の消化性の改善に貢献することを目指し、筋線維タンパク質の熱変性とpH変化を簡単に検出するための赤外スペクトルマーカーを開発する。
成果の内容・特徴
  1. 開発した赤外スペクトルマーカーは、熱および酸性pHによるタンパク質の構造変化に特異的なスペクトル変数2つを用いた簡単な計算式である(図1)。独立したスペクトル変数を各マーカーに用いることで、熱変性および酸変性を分離して同時に評価できる。
  2. 熱マーカーは熱によるタンパク質の二次構造の変化を検出し、加熱の有無の誤判別率は0.9%である。
  3. pHマーカーは、タンパク質の酸性化によるアスパラギン酸残基のプロトン化およびタンパク質溶解に伴う疎水性アミノ酸残基の環境変化を検出し、pHがペプシン活性化の目安である約3.9より高いか低いかを判定する。誤判別率は0.5%である。
  4. 赤外スペクトルは赤外分光顕微鏡を用いて小さな領域からも得ることができるため、食肉の凍結切片を作成して食品構造内部のタンパク質のスペクトルを選択的に取得することで、これまで測ることの難しかった食肉の空間依存的な熱変性やpH変化を、高空間分解能(数10μm)でその場評価可能である(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 開発したマーカーを用いることにより、タンパク質が食肉の中でどのように熱変性やpH変化をしているのか詳細に解析できるようになったことから、食肉組織中のタンパク質の実際の消化されやすさや生体可給性の解明に役立つと考えられる。消化性を低下させない食肉の適切な調理法や易消化性食肉製品の開発に貢献すると考えられる。
  2. 筋線維タンパク質とアミノ酸組成が大きく異なるタンパク質は、pHマーカー値が異なることに留意する。本報告では牛肉を使用。
  3. スペクトル形状からスペクトルにタンパク質以外(水や脂肪)が多く含まれることが明らかな場合は、マーカー値の採用を保留する必要がある。
予算区分交付金
予算区分その他外部資金(EU流動研究員制度AgreenSkills)
研究期間2015~2017
研究担当者本山三知代、Annie Vénien(INRA)、Olivier Loison(INRA)、Christophe Sandt(Synchrotron SOLEIL)、渡邊源哉、Jason Sicard(INRA)、佐々木啓介、Thierry Astruc(INRA)
発表論文Motoyama M. et al. (2018) Food Chem. 248:322-329
発行年度2017
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nilgs/2017/nilgs17_s09.html
収録データベース研究成果情報

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