水路の表面被覆補修の施工区間長さとパターンが通水性改善に与える効果

水路の表面被覆補修の施工区間長さとパターンが通水性改善に与える効果

タイトル水路の表面被覆補修の施工区間長さとパターンが通水性改善に与える効果
要約水路壁面の補修箇所がパッチワーク状に混在していても、水路断面形状を変えず補修量が同じであれば、水位低下効果は同じである。水路の溢水対策の計画においては、通常の不等流解析により、補修施工区間の適切な位置と総延長を設計することができる。
キーワード水理機能診断、粗度係数、表面被覆工法、補修水路、損失水頭
担当機関(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究部門 水利工学研究領域 沿岸域水理ユニット
連絡先029-838-7677
分類研究成果情報
背景・ねらい老朽化した水路壁面の摩耗は水位の上昇を招き、溢水などの水利用上の被害につながりかねない。水路の長寿命化のために、劣化・損傷の大きな部分からパッチワーク状に表面被覆工法による補修がなされた水路が見られる(図1(a))。これまでの水路補修では、水路断面形状に変化があっても粗度係数の改善で通水性は確保できるとみなされてきたが、通水性低下による溢水等の水利用上の問題に対しては、水路幅や水路勾配が一様となるような補修が効果的である。しかし、このように異なる粗度係数が混在した水路の補修計画を設計する上で、補修の施工区間のパターンが通水性に与える影響は未解明である。そこで、水理模型実験により、パッチワーク状の補修による粗度係数の減少が水位低下に及ぼす効果を評価するとともに、補修水路の水理設計に用いられる不等流解析による水面形追跡の適用可能性について確認する。
成果の内容・特徴
  1. 現場打ちコンクリートの幹線用水路においてパッチワーク状に壁面補修した開水路を想定し、縮尺比1/5の水理模型実験を実施する。未補修の壁面(粗度係数nr=0.0148)と、補修後の滑らかな壁面(粗度係数ns=0.0124)とが、パッチワーク状に補修された水路模型を設定する(図1(b))。
  2. 水路断面形状が一様であれば、補修/未補修区間の施工区間長さや切り替わり回数を変えたパッチワークのパターンによらず、補修による水位低下の効果は、補修区間の総延長に応じて現れる(図2)。
  3. 補修/未補修区間の切り替わり部分において水路幅や水路底の形状の変化がなければ、明瞭な波や渦の発生は生じず(図1(c))、エネルギーの局所損失は生じない。そのため、補修施工区間が1スパン(10m)程度(図2のCaseBに相当)であっても、従来通りの摩擦損失のみを考慮した不等流解析によって、補修した後の水面形を追跡可能である。補修区間の総延長が同じであれば、上流の水位低下の効果は同じであるため(図3)、補修実施箇所は必ずしも連続的である必要はない。
  4. 劣化の激しい箇所から局所優先的に補修する場合、補修施工区間における水位低下量は下流の水位と施工区間長さによって変わり、補修壁面の粗度係数の等流水深まで低下するとは限らない。そのため、あらかじめ不等流解析により水面形を予測し、通水性が改善するために必要な補修区間の適切な施工位置と総延長を見積もることが必要である。それにより、水位低下による水路の通水性を改善するとともに、分水工や取水ポンプなどの水利施設が適正な水位を確保し、水利用機能を発揮することができる。
成果の活用面・留意点
  1. 補修工法によって水路断面が減少する場合、補修箇所のパッチワークの頻度が過剰であると、エネルギーの局所損失が発生することで、水位低下の効果が十分に改善しない場合がありうる。
予算区分交付金
研究期間2015~2017
研究担当者中田達、浪平篤、樽屋啓之
発表論文中田ら(2018)農研機構研究報告農村工学研究部門、2:137-145
発行年度2017
オリジナルURLhttp://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nire/2017/nire17_s07.html
収録データベース研究成果情報

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