森林火災の発生危険日数がわかる地図を作りました。

森林火災の発生危険日数がわかる地図を作りました。

タイトル森林火災の発生危険日数がわかる地図を作りました。
要約太陽エネルギー量と降水量から判定した森林火災発生危険日数の地図を作りました。危険日数は、新植地では林齢 20 年以上の森林と比べ 7 倍程度、危険日数の多い地域では少ない地域と比べ最大で 3 倍程度になることがわかりました。
担当機関(国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所 森林防災研究領域
(国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所 森林災害・被害研究拠点
区分(部会名)森林
背景・ねらい林業は植林から伐採までの数十年の間に災害をうけるリスクがあります。安定した林業経営のためには、森林の生育ステージごとにリスクを見積もることが必要です。そこで3つの生育ステージに相当する森林タイプごとに森林火災の発生危険日数を示した全国地図を作りました。林床可燃物が燃えやすくなる火災発生危険日を判定するために、林床に達する太陽エネルギー量と降水量から林床可燃物に含まれる水分量を推定するモデルを作成し、全国の火災発生危険日数を地図上に表示する技術を開発しました。その結果、火災発生危険日数は、新植地では林齢20年以上の森林と比べ7倍程度、危険日数の多い地域では少ない地域と比べ最大で3倍程度になることがわかりました。
成果の内容・特徴
森林火災発生危険日の判定
 森林火災ではまず、林床可燃物が最初に燃え始めます。林床可燃物が20%以上の水分を含んでいると火種があっても燃えないと言われています。したがって、林床可燃物に含まれる水分量が20%よりも少なくなる日を森林火災発生危険日とみなすことが出来ます。そこで林床に届く太陽エネルギー量と降水量から林床可燃物に含まれる水分量の変動を推定するモデルを作成し、林床可燃物に含まれる水分量が、可燃物の乾燥重量の20%よりも少なくなった日を森林火災発生危険日と判定しました。
森林火災発生危険日数地図
 林床に届く太陽エネルギー量は、森林の状態によって異なります。その量は苗を植えてすぐの新植地では多いのですが、樹木の成長にともなって次第に少なくなります。間伐などによって樹木の密度が低くなった森林では、密度の高い森林よりも多くの太陽エネルギーが林床まで届きます。そこで、林齢20年以上のうっ閉した森林、1haあたりの立木が1,500本以下の低密度林、林齢10年未満の新植地の3タイプについてそれぞれ、森林火災発生危険日を判定しました。この3タイプの森林について、1995~2013年の各年の危険日と判定された年間の日数の平均値を図2に示します。年間の危険日数が多い地域は、林齢20年以上の森林では44日程度、低密度林では200日程度、新植地では300日程度となり、森林のタイプによって7倍程度も異なることがわかりました。またいずれの森林タイプにおいても、北関東、東海、瀬戸内などの危険日数の多い地域での日数は、北海道から中国地方の日本海側に分布する危険日数が少ない地域の約1.8~3.3倍もあることもわかりました。
森林保険制度
 樹木の苗を植えてから木材として伐採するまでには通常40~50年以上の年月を必要とします。その間には様々な災害によって樹木が枯れてしまい価値がなくなってしまうことがあり、林業経営上のリスクとなっています。森林火災のような万一の災害に備えて林業経営者から掛け金を集め、いざ損失が生じたときに保険金を支払うことによって林業経営の安定化を図るのが森林保険制度です。掛け金の額は森林の持つ被災リスクに応じて定められる必要がありますが、対象とする災害の種類や樹木の生育段階に応じて被災リスクは異なります。今回の成果は、森林火災のリスクを生育段階に応じてきめ細かく評価することを可能にするものです。
予算区分森林総合研究所所内委託プロジェクト
研究担当者玉井 幸治(森林防災研究領域)、吉藤 奈津子(森林防災研究領域)、勝島 隆史(森林防災研究領域)、高橋 正義(森林災害・被害研究拠点)、後藤 義明(森林災害・被害研究拠点)
発表論文玉井幸治・後藤義明 (2016) 間伐・除伐・風倒被害による林野火災発生危険度への影響. 森林火災対策協会報, 36, 4-8.
玉井幸治 (他) (2019) 林床可燃物含水状態の推定モデルによる森林火災発生危険日出現日数の算出.水利科学,365, 84-98.
発行年度2019
オリジナルURLhttps://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2019/documents/p8-9.pdf
収録データベース研究成果情報

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