永久凍土の凹凸地形面の形成過程を年輪から復元し、温暖化影響を予測

永久凍土の凹凸地形面の形成過程を年輪から復元し、温暖化影響を予測

タイトル永久凍土の凹凸地形面の形成過程を年輪から復元し、温暖化影響を予測
要約有機物が分厚く堆積した凹凸地形面を持つ永久凍土への温暖化の影響を解明するため、凹凸の形成過程を年輪から復元しました。温暖化は短期的には凹凸の形成を加速し、長期的には崩壊を招くことを発見しました。
担当機関(国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所 立地環境研究領域
区分(部会名)森林
背景・ねらい有機物が分厚く堆積した凹凸地形面を持つ永久凍土への温暖化の影響を解明するため、凹凸の形成過程と条件を調査しました。そこから、凹凸の形成によって傾いたクロトウヒは根元からの高さ30cm以下にあて材を形成することで樹体を支える特性をもつことを発見し、年輪のあて材形成の履歴から凹凸の形成過程を復元する技術を確立しました。その結果、凹凸地形面の形成は温暖年に活発であり、1960年以降、堆積有機物層の発達と凹凸地形面の形成が加速していることを解明しました。ただし、今後さらに温暖化が進み、凹凸地形面の条件となる浅い永久凍土面が深くなると、凹凸地形面が崩壊し、堆積した有機物の分解を招くことが予想されます。
成果の内容・特徴
土壌への温暖化影響を検証
 温暖化が急速に進んでいる北極圏の永久凍土地帯では、凍土の融解にともない、堆積した有機物の分解が二酸化炭素を発生させ温暖化をさらに加速することが懸念されています。永久凍土地帯の南縁のクロトウヒ林では直径1~2メートルのマウンドが点在する凹凸地形面が形成され、樹木が直立できない「酔っ払いの森」が分布し、温暖化との関わりが議論されています。本研究では、凹凸地形面は平坦な地形面よりも有機物の堆積量が多く、高い炭素貯留能を持つことを新たに解明しました。凹凸地形面の形成過程を復元し、形成条件を抽出することで、森林および凍土の炭素貯留機能への温暖化影響を検証しました。
凍土の動きを復元する技術を確立
 凍土地帯のような遠隔地では観測データが限られ、温暖化影響の検証や将来予測が困難ですが、今回調査したカナダ北西準州イヌビック近郊では、樹齢二百歳のクロトウヒの年輪解析による環境復元が可能です。ここでクロトウヒの年輪と凹凸地形面の発達程度との関係を調査した結果、凹凸地形面の形成によって傾いたクロトウヒは根元からの高さ30cm以下にあて材を形成することで樹体を支える特性をもつことを発見し、年輪のあて材形成の履歴から凹凸の形成過程を復元する技術を確立しました。
凍土への温暖化影響を検出
 年輪解析の結果、凹凸地形面の形成は温暖年に活発であり、年平均気温の増加し始めた1960年以降、堆積有機物層の発達と凹凸地形面の形成が加速していることを解明しました。温暖化は永久凍土の融解によって有機物の分解を加速すると考えられてきましたが、短期的な温暖化は炭素貯留効果の高い凹凸地形面の形成を促進することがわかりました。ただし、凍土地帯の凹凸地形面の形成は浅い永久凍土面の存在を前提条件としていることを発見しました。今後さらに温暖化が進み、凹凸地形面の条件となる浅い永久凍土面が深くなると、凹凸地形面に堆積した有機物の減少を引き起こすことが予想されます。
永久凍土の温暖化影響予測に貢献
 酔っ払いの森と呼ばれるクロトウヒ林は自然現象として起こる凹凸地形面の形成と連動して発達していることを解明し、その上で、近年の温暖化が凹凸地形面の発達、樹木の傾きを強めていることを解明しました。これまで土壌有機物動態に対する温暖化影響予測は検証データが少ないことが不確実性を高める要因となってきましたが、年輪による復元データによって温暖化に対する土壌炭素蓄積量の変動予測モデルを精緻化することが可能になります。
予算区分JSPS科研費(JP17K15292)
研究担当者藤井 一至(立地環境研究領域)
発表論文Fujii, K. et al.(2019)Effects of hummocky microrelief on organic carbon stocks of permafrost-affected soils in the forest-tundra of northwest Canada, Pedologist, 63(1), 1-10.
発行年度2019
オリジナルURLhttps://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2019/documents/p12-13.pdf
収録データベース研究成果情報

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