サケOncorhynchus keta 幼稚魚の成長特性と生残条件

サケ<i>Oncorhynchus keta</i> 幼稚魚の成長特性と生残条件

タイトルサケOncorhynchus keta 幼稚魚の成長特性と生残条件
要約北海道の最東端に近い昆布森沿岸域でサケ幼稚魚を採集し、耳石日周輪解析により降海後の成長速度を推定した。昆布森まで長距離・長時間の減耗過程を経験した遠方河川起源の標識魚と昆布森近傍の河川起源の標識魚を比較した結果、速い成長速度を維持し大型化した個体ほど生残し易いことが判明した。同様の傾向はオホーツク海沖合に到達したサケ幼魚でも確認することができた。
担当機関(国研)水産研究・教育機構 北海道区水産研究所 さけます資源研究部 資源評価グループ
連絡先011-822-2341
区分(部会名)水産
専門資源生態
研究対象さけ・ます類
分類研究
背景・ねらいサケでは海洋生活初期に大規模な減耗が生じることが知られている。日本系サケ幼稚魚は、日本の沿岸域を北上し7月末頃までにオホーツク海に到達したのち、夏から秋をオホーツク海沖合で過ごす。本研究では、日本沿岸域離岸目前のサケ幼稚魚を採集し、耳石日周輪から降海後の成長速度を推定することにより、初期生残における成長速度の影響を解明することを目的とした。さらにオホーツク海沖合で採集されたサケ幼魚でも同様の分析を行い、オホーツク海に到達した個体の、沿岸域での成長速度を評価することを試みた。
成果の内容・特徴昆布森沿岸域で2005〜2014年6〜7月に採集された耳石温度標識サケ幼稚魚369尾(尾叉長、以下FL:56〜146mm)について、降海後の成長速度(mm/日)と降海履歴(降海時のFL、降海日)を推定した。これら供試魚を放流地点から昆布森までの距離(近距離、中距離、遠距離)と採捕時の体サイズ(小型、中型、大型)でグループ分けして比較したところ、中・遠距離起源の90%の個体はFL 90mm 以上の大型に属し、成長速度の中央値は0.65mm/日と推定された。一方、近距離起源の個体では採捕時の体サイズが小さいほど成長速度は遅い傾向を示した。遠方起源の個体では成長速度が速い値に偏っており、速い成長速度で大型化した個体のほうが生残し易く、成長の遅い個体は淘汰され易い可能性が示唆された。2002年10月にオホーツク海沖合で採集された耳石温度標識サケ幼魚16尾(FL:180〜286 mm)を対象に、降海後30日間の成長速度を推定したところ、平均1.19 mm/日(範囲:1.02〜1.54mm/日)であった。前述の昆布森における平均の成長速度(369尾)は平均0.59 mm/日であったことから、オホーツク海に至るまで長期にわたって生残するには昆布森で観察されたよりも一層速いスピードで成長した魚が有利であることが推察された。
成果の活用面・留意点太平洋側の広域起源のサケ幼稚魚について、離岸目前まで生残した個体の成長速度と降海履歴が明らかとなり、各地のふ化放流手法の改良に資することが期待される。ただし、本研究は昆布森では10年分のデータをプールしたものであって経年差が考慮されていない点、オホーツク海沖合の分析ではサンプル取得の問題から分析年が2002年に限定されている点に留意する必要がある。
予算区分運営費交付金
研究期間2017~2018
研究担当者本多健太郎、川上達也、斎藤寿彦
発表論文Fisheries Science, 83: 987-996, 2017.
Ichthyological Research, DOI:10.1007/s10228-018-0643-6, 2018.
発行年度2018
オリジナルURLhttp://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8052&YEAR=2018
収録データベース研究成果情報

研究成果情報アクセスランキング

Copyright 2017 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat