飼餌料に応じたクロマグロ稚魚の代謝物動態の把握

飼餌料に応じたクロマグロ稚魚の代謝物動態の把握

タイトル飼餌料に応じたクロマグロ稚魚の代謝物動態の把握
要約クロマグロの飼育には大規模な施設を必要とすることから飼育試験の回数が限られ、成長評価をベースとした飼料開発には多大な年月を要する。このため我々は、網羅的な代謝物解析手法を応用することで、飼料開発の効率化を目指している。本研究ではその端緒として、異なる飼餌料を給餌したクロマグロ稚魚の代謝物応答を解析し、その動態を捉えることに成功した。
担当機関(国研)水産研究・教育機構 西海区水産研究所 まぐろ増養殖研究センター 成熟制御グループ
(国研)水産研究・教育機構 西海区水産研究所 まぐろ増養殖研究センター 種苗量産グループ
連絡先095-860-1617
区分(部会名)水産
専門魚類栄養
研究対象まぐろ
分類研究
背景・ねらいクロマグロは大規模な飼育施設を必要とすることから、他魚種と比較して飼育試験の回数が限られ、成長評価をベースとした飼料成分の検討に多大な年月がかかる。このため、成長試験に先立ってクロマグロの成長促進に有効な成分を絞り込むことができれば、飼料開発を効率的に行うことができると考えられる。そこで本研究では、核磁気共鳴分光法(NMR)による網羅的代謝物解析手法の応用を目指した。
成果の内容・特徴32日齢(平均全長60mm)のクロマグロ稚魚120尾を1kLアルテミア孵化槽に収容し、サバ魚粉を主原料とした飼料(対照区)、ロイシン等の遊離アミノ酸を添加した飼料(アミノ酸区)、魚粉の一部を植物タンパク原料に置き換えた飼料(植物区)、冷凍イカナゴミンチ(生餌区)を用いて14日間の給餌試験を行った。試験開始後1〜7日の間に水槽底面から採取した糞および試験開始後7日目の個体から採取した組織(筋肉・肝臓)について凍結乾燥・破砕処理した後、NMRにより低分子代謝物を網羅的に解析した。その結果、試験開始後14日目では、対照区と比較して生餌区は優れた成長を示し、植物区は有意に成長が劣った(図1)。また飼料と糞のNMR分析から、植物区では飼料中の遊離アミノ酸が少ないにも関わらず糞中には多く排出されていることが明らかになった(図2)。さらに飼料と筋肉のNMR分析から、一部の遊離アミノ酸(バリンやロイシン等)は飼料中と筋肉中の含有量に相関が見られた(図3)。これらのアミノ酸は飼料への添加により筋肉での含有量をコントロールできることが示唆された。
成果の活用面・留意点(1)本研究により様々な飼料に関して同様の解析を行うことで、クロマグロ飼料の高度化のために着目すべき成分を絞り込むことができると考えられる。 
(2)本研究で用いられているNMRによる解析手法は汎用性が高いことから、他魚種に対しても広く応用することができる。特に配合飼料開発が進んでいない新規魚種については、短期間に多くの情報が得られる本研究のような手法が有効であると考えられる。  
予算区分水産庁委託事業
研究期間2016~2018
研究担当者玄浩一郎 他10名(水研機構)、菊地淳 他5名(理化学研究所CSRS)、西山裕介(JEOL RESONANCE)、吉川壮太 他2名(長崎県水産試験場)、森中晃 他6名(林兼産業(株))、横山佐一郎(鹿児島大学)、升間主計 他1名(近畿大学)
発表論文相馬智史ら(2018):異なる飼餌料を給餌したクロマグロ稚魚の代謝物解析.平成30年日本水産学会秋季大会
発行年度2018
オリジナルURLhttp://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8138&YEAR=2018
収録データベース研究成果情報

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