イカナゴを指標種とした瀬戸内海の貧栄養化と再生に関する研究

イカナゴを指標種とした瀬戸内海の貧栄養化と再生に関する研究

タイトルイカナゴを指標種とした瀬戸内海の貧栄養化と再生に関する研究
要約イカナゴを指標種として、瀬戸内海の貧栄養化が有用魚介類に及ぼす影響について検討した。夏眠直後のイカナゴの肥満度が経年的に有意に低下していること、イカナゴの餌料生物であるカイアシ類の出現個体数との間に有意な正の相関があることを見出し、イカナゴの減少要因が海域の貧栄養化による餌料環境の悪化に起因している可能性を示した。
担当機関兵庫県立農林水産技術総合センター 水産技術センター 水産環境部
連絡先078-941-8601
区分(部会名)水産
専門生物生産
研究対象海洋生態系
分類研究
背景・ねらい平成27年10月に瀬戸内海環境保全特別措置法が改正され、今後の施策の方向性が、「きれいな海」から「豊かな海」の実現へ大きく方向転換された。しかしながら、その契機となった栄養塩濃度の低下による海域の貧栄養化と近年の漁業生産の低下との関係については、科学的根拠が不十分とされ、法改正後5年を目処にさらに検討する必要があるとされた。そこで、兵庫県ではイカナゴを指標種として、栄養塩濃度の低下が植物・動物プランクトンを経て有用魚介類に及ぼす影響について検討した。
成果の内容・特徴本研究では特に、イカナゴの肥満度に着目し、夏眠直後のイカナゴの肥満度が10年間で経年的に有意に低下していることを見出した。特に直近年の肥満度は、夏眠明けの成熟に影響が出る(1尾当たりの産卵数が減少する)とされる閾値以下にまで低下していることを明らにした。また、イカナゴの餌料生物である動物プランクトン(カイアシ類)の出現個体数も経年的に減少していること、イカナゴの肥満度とカイアシ類個体数の低下には統計学的に有意な相関があることを示し、イカナゴの減少要因が海域の貧栄養化による餌料環境の悪化に起因している可能性を示した。本成果は、瀬戸内海の貧栄養化が重要な漁獲対象種に影響を及ぼしていることを餌料環境を含めて立証した最初の知見である。
成果の活用面・留意点瀬戸内法の改正を受け、瀬戸内海環境保全基本計画には、瀬戸内海の湾・灘ごとや季節ごとの課題に対応し、多面的価値・機能が最大限に発揮された「豊かな瀬戸内海」を目指すことが明記されており、本研究成果はその実現を目指す上で、今後様々な場面でその科学的根拠として活用されることが期待される。
予算区分県単
研究期間2015~2019
研究担当者西川哲也
発表論文西川哲也. 播磨灘における海洋環境と植物プランクトンの長期変動解析. 沿岸海洋研究2019; 56(2): 73-78.
Nishikawa T, Nakamura Y, Okamoto S, Ueda H. Interannual decrease in condition factor of the western sand lance Ammodytes japonicus in Japan in the last decade: Evidence for food-limited decline of the catch. Fish. Oceanogr. 2020; 29(1): 52-55.
発行年度2019
オリジナルURLhttp://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8264&YEAR=2019
収録データベース研究成果情報

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