有明海におけるノリの色落ち原因となる珪藻赤潮の発生予察技術の開発

有明海におけるノリの色落ち原因となる珪藻赤潮の発生予察技術の開発

タイトル有明海におけるノリの色落ち原因となる珪藻赤潮の発生予察技術の開発
要約有明海のノリ養殖において冬季に発生する珪藻赤潮による色落ち被害が問題となっている。広域で発生し被害の大きいEucampia zodiacus赤潮が冬季に発生した年度は、秋季の細胞出現率が高く、表層塩分の変動が小さい鉛直混合の生じやすい環境であった。秋季の物理環境が冬季のEucampia zodiacus赤潮の発生・非発生に影響している可能性がある。
担当機関(国研)水産研究・教育機構 西海区水産研究所 有明海・八代海漁場環境研究センター 環境保全グループ
連絡先095-860-1600
区分(部会名)水産
専門漁場環境
研究対象植物プランクトン
分類研究
背景・ねらい有明海のノリ養殖における問題としては、病害、珪藻赤潮による色落ち、温暖化による漁期の短縮などが挙げられる。冬季に発生する珪藻赤潮はノリの栄養塩類不足を招き、色落ちによる品質低下や収量減少をもたらすことから、珪藻赤潮の発生予察が可能となれば、養殖スケジュールの管理や調整による被害軽減対策の活用が期待される。そこで、関係機関と連携してモニタリングを実施し、珪藻の発生状況を把握するとともに、過去のデータを含めた解析から冬季における珪藻赤潮の発生・非発生の予察手法について検討した。
成果の内容・特徴ノリの養殖期である10月から2月に、有明海の奥部から中央部の定点で定期観測を行った(図1)。有明海の広域で発生して大きな色落ち被害をもたらすEucampia zodiacusによる赤潮は、直近の6年間では、H25年度、H26年度(3月に赤潮化)、H30年度に発生し、H27年度からH29年度は発生しなかった(図2)。本種の出現率(各月の細胞が出現した延べ定点数/延べ観測定点数×100)を算出すると、赤潮非発生年は11月の出現率が0〜1.6%であったのに対し、赤潮発生年は7.7〜60.5%と高かった(図3)。本種は冬季から夏季にかけて細胞が小型化し、最小サイズとなった細胞は秋季にサイズを回復して最大化することが知られており、秋季の最大化した細胞量やその分布が冬季の赤潮の発生・非発生に関連していることが示唆されている。定期観測(2〜4回/月)による水質データから、赤潮発生年は出現頻度の高かった定点で11月の海水密度の鉛直勾配が小さい傾向にあった。この時期は表層塩分が海水密度の鉛直勾配に大きく影響する。そこで定点P6に設置されている自動観測ブイによる11月の表層塩分の連続変化をみると、赤潮非発生年は降水による変動が大きい、あるいは月の中旬までやや低めで推移する傾向があったが、赤潮発生年は変動が小さく安定していた(図4)。このことから、赤潮発生年は、大型化した細胞の出現時期に比較的鉛直混合が生じやすい環境にあったと推察され、鉛直混合により光環境の良好な表層へ輸送されることが大型化した細胞の増殖に影響している可能性がある。
成果の活用面・留意点冬季のEucampia zodiacusによる赤潮の発生・非発生を秋季の気象・海象から予察できる可能性がある。今後の課題として、大型化した細胞の出現と水環境との関連について詳細な解析が必要である。
予算区分水産庁委託事業
研究期間2018~2018
研究担当者福岡弘紀、岡村和麿(西水研)、内藤 剛(福岡水技セ有明)、山口 聖、太田洋志(佐賀有明水振セ)、松谷久雄(熊本水研セ)
発行年度2019
オリジナルURLhttp://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8398&YEAR=2019
収録データベース研究成果情報

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