沿岸干潟域におけるネオニコチノイド系農薬等の分布と海産甲殻類へのリスク影響

沿岸干潟域におけるネオニコチノイド系農薬等の分布と海産甲殻類へのリスク影響

タイトル沿岸干潟域におけるネオニコチノイド系農薬等の分布と海産甲殻類へのリスク影響
要約本研究では、ネオニコチノイド系農薬7種とフェニルピラゾール系農薬フィプロニルが、河口干潟域に生息する海産甲殻類に及ぼす影響を調べた。河口干潟域の採水で調査した農薬濃度と、毒性試験の結果を比較した結果、最も感受性の高い種で最大72%の個体が影響を受けていると試算された。さらに、実環境に沿ったリスク影響評価は、農薬、海産甲殻類の季節変動を考慮した上で行う必要性を明らかにした。
担当機関(国研)水産研究・教育機構 瀬戸内海区水産研究所 環境保全研究センター 化学物質グループ
連絡先0829-55-3756
区分(部会名)水産
専門有害物質汚染
研究対象甲殻類
分類調査
背景・ねらいネオニコチノイド系農薬、フェニルピラゾール系農薬は、昆虫の神経伝達系に作用して強力な殺虫効果を発揮する。近年、陸生昆虫や淡水水生昆虫などの非標的昆虫への影響が懸念されており、陸域や水田・河川生態系におけるリスク影響評価が進められている。水田が海岸線に沿って散在する地域では、これらの農薬類は河川を介して沿岸域に流入すると予想される。しかしながら、沿岸干潟域に生息する海産甲殻類との関係に着目したリスク評価研究はこれまで全く行われてこなかった。
成果の内容・特徴2015-18年に瀬戸内海沿岸干潟域において海産甲殻類の生物量調査と農薬調査を実施した。  採捕された代表的な甲殻類3種(エビジャコ、クルマエビ、アミ類)を用いて毒性試験を行い、算出された影響濃度と環境中濃度から、リスク影響を評価した。実環境域では複数の農薬が混在して検出されたため、これらを総合的に評価するために複合影響モデルを適用した。その結果、甲殻類に強い毒性を示す農薬が検出された6-7月に海産甲殻類へのリスクが最も高くなり、アミ類で72%に影響が及ぶことを示した。このように、本研究は、沿岸干潟域における農薬の生態リスク影響を初めて定量的に示した点に大きな特徴を持つ。
成果の活用面・留意点本研究は県水産研究センター、水産関連団体の協力を得て行われており、その成果は水産の現場で共有されている。
予算区分科学研究費(科研費)
研究期間2016~2018
研究担当者羽野健志、伊藤克敏、大久保信幸、阪地英男、伊藤真奈、隠塚俊満、持田和彦、渡邉昭生、高島景、松木康祐
発表論文Hano T, Ito K, Ohkubo N, Sakaji H, Watanabe A, Takashima K, Sato T, Sugaya T, Matsuki K, Onduka T, Ito M, Somiya R, Mochida M. (2019) Occurrence of neonicotinoids and fipronil in estuaries and their potential risks to aquatic invertebrates. Environ. Pollut. (252), 205-215
Hano T, Ohkubo N, Ito M, Onduka T, Ito K, Sakaji H. (2017) Comparative toxicity of seven neonicotinoid insecticides and their two metabolites to juveniles of the marine crustacean kuruma prawn (Marsupenaeus japonicas) Japanese J. Environ.toxicol. 20(1), 35-48.
発行年度2019
オリジナルURLhttp://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8442&YEAR=2019
収録データベース研究成果情報

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