水深と障害物の複雑性がイワナの生残と定着に与える影響

水深と障害物の複雑性がイワナの生残と定着に与える影響

タイトル水深と障害物の複雑性がイワナの生残と定着に与える影響
要約屋外に設置した水槽でイワナの放流実験を行ったところ、水深が25cm以上の水槽では水深15cmの水槽と比べて、生き残ったイワナの個体数が9倍程度も多かった。また障害物を設置することで、試験区に定着したイワナの個体数は約6倍も多くなることがわかった。このため障害物の多い場所に放流を行う、もしくは放流場所に障害物を追加することが捕食や縄張りの影響緩和策として有効と考えられた。
担当機関(国研)水産研究・教育機構 中央水産研究所 沿岸・内水面研究センター 内水面資源増殖グループ
連絡先0288-55-0055
区分(部会名)水産
専門資源生態
研究対象淡水魚
分類研究
背景・ねらい飼育した稚魚を川へ放す種苗放流は、渓流魚の増殖手法として最も広く普及・定着した方法であるが、放流後の生残率が極めて低いことが問題となっている。これまでの研究から、多くの放流魚が放流場所付近で陸上野生動物に捕食されることが明らかとなっており、放流魚の生残を改善するためには、捕食されにくい環境を把握する必要がある。このため、本研究では、放流場所の水深と障害物に注目し、イワナの被食リスクや定着との関係を調査した。
成果の内容・特徴これまでサケ科魚類の放流場所と生残や定着との関係を調べた知見は乏しく、経験や感覚をもとに放流場所が決められる場合が多かった。本研究では屋外に設置した円形水槽(直径120cm)にイワナ稚魚30個体を収容して放流実験を行ったところ、水深が25cm以上の水槽では水深15cmの水槽と比べて、生き残ったイワナの個体数が9倍程度も多かった(図1)。一方、水深15cmの同水槽に障害物(直径15cmの石に生分解性ビニールテープを巻き付けたものを9個)設置してイワナ30個体を放流したところ、障害物を設置した水槽では対照区(直径15cmの石のみ設置)よりも生き残ったイワナの個体数が5倍程度も多かった。さらに、コンクリート池にイワナ稚魚60個体を収容した放流実験では、障害物(上記と同様のものを30個)を設置することで、試験区内(縦2.5m,横1.0m,水深15cm)に定着したイワナの個体数は約6倍も多くなることがわかった(図3)。このため障害物の多い場所に放流を行う、もしくは放流場所に障害物を追加することが捕食や縄張りの影響緩和策として有効と考えられた。
成果の活用面・留意点カワウやアオサギ等の魚食性鳥類に関しては、その個体数の増加や分布域の拡大が問題となっており、近年では鳥類等による捕食の緩和策として放流場所への障害物の設置(渡良瀬川水系魚ふれあい振興会, http://www.ryomo-fishing.com/wffa.html)が行われている。本成果の活用により、これらの技術がさらに発展してゆくことが期待される。
予算区分一般研究
研究期間2017~2017
研究担当者宮本幸太
発表論文Miyamoto, K., & Araki, H. (2019). Effects of water depth and structural complexity on survival and settlement of white-spotted charr (Salvelinus leucomaenis). Hydrobiologia, 840(1), 103-112.
発行年度2019
オリジナルURLhttp://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=8472&YEAR=2019
収録データベース研究成果情報

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