摘要 | 本課題では、良食味米生産のための施肥・栽培管理技術の確立、良食味米の簡易検定法の開発、及び良食味米簡易検定法の品種選抜への応用の可能性について検討した。■コシヒカリ・キヌヒカリ等の中生品種は窒素施肥法の如何にかかわらず、雪の精・新潟早生・越路早生等の早生品種より食味評価値が高く、また、実肥施用により各品種とも食味評価が低下する傾向にあった。■生育パタ−ンと食味との関係では、収量・食味評価値とも高い水稲は分げつ期頃からの日乾物生産割合が一定であるのに対し、いずれかが低い水稲では、幼穂形成期から出穂期にかけて生育が旺盛となり、出穂期以降に凋落する生育パタ−ンを示した。■不耕起栽培では基肥施用量が多くなるに伴って食味評価値が低下した。この傾向は白米中のタンパク含量の増加と一致していた。■簡易検定法の開発では、食味評価値と比較的高い相関を示した測定項目はアミロ−ス含量、タンパク含量、湖化特性ブレ−クダウン値等8項目であることが明らかになった。これらを用い重回帰分析による食味判定式を作成した。この式は未知試料にも適用が可能であり、育成系統の選抜にも有用であった。残された問題点としては、米食味と気象条件との関係を明確にすること、さらに高精度で簡易迅速な理化学的評価手法を確立することである。 |