摘要 | 本州東方海域において、4月上旬から5月上旬にかけてマイワシ仔稚魚の採集調査を行い、耳石解析システムを用いて採集した仔魚の誕生日を推定した結果、仔魚は黒潮続流域に多く出現し、黒潮続流下流で採集されたものほど高日齢になり、成長していた。したがってマイワシ仔魚が黒潮続流を通じて東方沖合域に輸送されながら成長していることが明らかになった。これらの大型仔魚はかなり遊泳力があると推定され、飢餓耐性、捕食者からの逃避能力も高く生残率が高いと考えられる。また、今回大型仔魚が採集された測点は黒潮続流から北側の暖水塊へ派生する暖水ストリーマのなかにあり、黒潮系暖水が北へ続いていることから、黒潮続流によって輸送されたマイワシ仔魚がこの海域を北上して北海道・東北沖の索餌域へ到達できると推定された。以上の結果より、これまで明らかにされていなかった黒潮続流を通じて沖合域から索餌域にいたるマイワシ仔稚魚の移動経路が存在することが示唆された。第■期では、簡単な仔稚魚移動様式モデルが完成した。モデルに定量性を導入するため、3ヶ年の研究を継続して行う。第■期では、仔稚魚の輸送量の定量化と定量化に必要となる捕食者と捕食量の評価の調査を行う。 |