摘要 | 発ガン原因には、化学発ガン、ウィルス発ガン等種々のものがあるが、いずれも直接的原因は遺伝子異常である。しかし、変異細胞の頻度がそれほど高くないのは、DNAレベルの修復が速やかで変異が起こらないのか、変異細胞が選択的かつ速やかに排除されるためなのかは明らかにされなければならない問題である。生物(また食品には)は、変異細胞の正常化や変異細胞の増殖を抑制したり、排除系(物質)を持つと考えられる。細胞の腫瘍化の代表的モデルであるSV40−transformed Balb/3T3細胞及び正常細胞(Balb/3T3)を用いて松茸中の抗腫瘍タンパク質を単離した。松茸子実体を緩衝液中で破砕、タンパク質を抽出後、DEAE−sepharose、phenyl−superose、Sepharose4B、TSK−G3000によるクロマトグラフィーにより精製した。精製タンパク質は約110KDのサブユニットよりなる分子量220KDのホモダイマーで、SV40形質転換マウス繊維芽細胞に対してLD50は5fmole(5ng)/mlであり、濃度で正常細胞の90%は影響を受けなっかた。本タンパク質は、マウス腫瘍細胞だけでなくヒト腫瘍細胞に対しても同程度に有効で、子宮ガン由来Hela細胞、肺癌由来細胞WI−38、子宮剄部ガン細胞に対するLD50値はそれぞれ約50fmole、150fmole、80fmole/mlであった。 |