摘要 | 米にはプロラミン、グルテリンを主体とする貯蔵蛋白質が含まれている。この貯蔵蛋白質は、米を多量に摂取する場合主な蛋白質源となるが、一方で、施肥条件や品種によって米の蛋白質含量を上げると食味が低下することが知られている。本課題は、米蛋白質の種類、存在形態と食味との関連性を解明する事を目的としており、本年度は蛋白質含量の異なる米のプロテインボディの構造、分布を調べた。試料としては、北陸農業試験場から提供された窒素施肥量が異なる新潟早生品種を用いた。収穫後乾燥処理する前の米粒と飯米の微細構造を、光学顕微鏡ならびに透過型電子顕微鏡で観察した。その結果、蛋白質含量の高い米では米粒の表面近くにプロラミンを蓄積するタイプのプロテインボディが多く見出され、またこのプロテインボディは炊飯後もその層状構造を保っていることが明らかになった。このことから、構造的に堅固なプロラミン蓄積型のプロテインボディによって、炊飯時の吸水や、米粒表面での網目構造と呼ばれる澱粉の構造体の形成が阻害され、米飯の食味が低下するものと考えられた。次年度は、プロラミン変異株を用いて、プロテインボディの堅固な構造の原因となるポリペプチドを検討する。 |