摘要 | 魚類養殖において正常な成長のために好適な塩分環境を作出し、生理機能を活性化することにより生残率を向上させることを目的に、ヒラメとクロダイについて飼育試験を行った。また、ヒラメについては連鎖球菌症の予防に対するホルマリン不活化ワクチン投与の有効性を検討した。クロダイ稚魚は100〜1%海水中で良好に成長し、また低塩分下ではかん水性白点病の流行が抑制されたことから、中間育成において低塩分環境の設定が成長及び疾病予防の面からも適切と考えられた。ヒラメ幼魚は75%海水中で最も成長がよく、これより低塩分になるにつれて増重率は次第に低下したが、25〜50%海水中でも十分に成長したことから、夏期の高水温期の疾病予防のための一方法として低温の地下水の混入が有効と考えられた。 ホルマリン不活化ワクチンを腹腔内に注射されたヒラメは、食細胞の特異的貪食活性の上昇と抗体によるオプソニン効果の相乗作用により高い感染防御能を獲得し、予防効果が160日間以上持続することが明らかとなり、ヒラメの連鎖球菌症は流行期前にワクチンを1度注射することにより予防可能と考えれれた。 今後は、これらの技術を養殖現場での成長過程の各段階へ適切に組み込む検討が必要と思われる。 |