摘要 | ホンダワラ類群落の形成初期から極相に至る遷移の支配要因解明のため天然群落付近に春秋冬季にコンクリートブロックを設置し定期的な坪刈調査により個体数密度や種組成の変化を見ると伴に植食動物を放流して群落に与える影響を調べた。春季区ではホンダワラ類の幼胚着生量は夏季に約10000個体/■と多いが個体数は秋から冬季に急減し、翌春の繁茂期に成体で約600個体/■となり個体数は徐々に減少した。冬季区では春季区と比べ個体数密度が低いが変動傾向は同様であった。秋季区では主にウミウチワが先着し春季に放出されたホンダワラ類幼胚が着生せず、春・冬季区に比べてホンダワラ類の個体数密度は低かった。春季区の優占種は単年生のアカモクから多年生のホンダワラ、マメタワラへと推移し、秋季区ではアカモクからホンダワラへ、冬季区ではアカモクからホンダワラ、ジョロモクへ推移し極相種に差が生じた。群落は単年生種から多年生種へ移行し、4、5年で極相に至り、群落形成には着生基質の設置時期が重要であり先着海藻種によって遷移が影響される。植食動物の放流試験から植食動物が特定の種を摂食し、初期群落の種組成が変化することが観察され、各種ホンダワラ類の生長・成熟等の生物特性が群落の遷移や安定化にどの様に係わっているのかを検討する必要がある。 |