摘要 | 音波による魚群の制御を目的に、各種水中音の分析、魚の聴覚、音に対する反応などを調べてきた。その結果、1)ニジマスの音源方向の識別能力が37度であること、2)マダイが雑音の中から信号音を聞き取る能力を調べCR(臨界比)が約20dB、マスキングが発生し始める雑音スペクトラムレベルが約70dBであること、3)捨て石工事が発生する水中音が短いパルス音(持続時間2−8ms)で、主な周波数成分が1kHz以上であり、魚に影響を与える範囲は狭いこと、4)養殖マグロは自分自身の遊泳捕食音や給餌船のエンジン音に誘致されることなどを明らかにしてきた。また平成5年度では、調査船を用いて魚群探知機やピンガーによる調査、海中ノイズや生物音測定などを行う際、船からのノイズが測定の妨げになることと、この騒音が魚の行動を変化させ資源量推定に影響を及ぼすことが考えられるので、水産工学研究所の調査船たか丸の水中ノイズを可聴域から超音波の広い領域で測定した。たか丸の騒音は24Hz付近にエネルギーのピークがある広帯域のスペクトルを持っていた。また最接近時の音圧はピーク値で150dBであり、音源音圧は約180dBであった。所期の成果が得られたのでこの課題は終了とする。 |