摘要 | ・クロマグロの卵確保技術の開発に取り組み、mtDNA分析により昨年産卵した雌と新たに産卵を開始した雌個体を確認した。卵・仔稚魚のハプロタイプの調査を行い、各発育段階でハプロタイプの数が減少する傾向を明らかにし、家系によって生残率に違いがあることを見い出した。・ブリを対象とした市販飼料を用いた親魚養成と産卵試験では、飼料の違いで成熟状況,産卵成績が異なり、数種類の混合給餌で良好な成績が得られることを把握した。ブリの耐病性にかかわる遺伝子座の候補を見い出した。・ブリ類を対象とした成熟・産卵を制御する技術について、ブリでは養成水温を19℃に制御し、飼育密度を高めることで成熟促進と産卵成績の向上が再確認され、12月の早期採卵技術の安定化を図った。また、カンパチでは、19℃の加温養成で成熟と同調性の可能性が得られた。・レプトケファルス型魚類であるハモの卵確保技術の開発に取り組み、1産卵期の産卵回数は従来考えられていた1回ではなく、複数回であることを世界で初めて明らかとした。ウナギでは、排卵する割合や卵質の向上が可能になり、天然ウナギではふ化率が過去最高の49%となり大量、安定採卵技術を大きく前進させた。・ホシガレイの採卵手法について、量産規模における排卵周期に沿った人工授精技術を開発し、本種の良質卵の確保に優れた手法であることを明らかにした。クロソイでは、親魚の養成水温をコントロールすることで出産を同調化する技術を開発した。・クルマエビの卵確保技術の開発に取り組み、卵影比による親エビの選別と低水温処理による産卵コントロールが養成親エビからの有効な採卵方法であることを実証した。また、実験池で養成した親エビから得た幼生は、実用規模で種苗生産に利用できウィルスフリーの稚エビが生産できることを実証した。 |