摘要 | 1.冷却速度・時間を変化させることにより、フィブロイン-有機溶媒混合水溶液の凍結プロセスを制御することが可能であることを見出し、フィブロイン多孔質構造体の多孔質構造や孔径をコントロールする技術を開発した。2.フィブロインH鎖タンパク質の繰り返し領域の代わりにオニグモ牽引糸タンパク質の一部を挿入した組換えタンパク質の組換えカイコによる発現に成功した。3.バージンセリシンを利用してゲルフィルム化プロセスにより、高含水でありながら優れた力学的物性を持つセリシンフィルム材料の開発に成功した。4.ゲルフィルム化は、βシート構造(セリシン)やcoiled coil構造(ホーネットシルク)による架橋点の形成とその後の分子ネットワーク形成によるプロセスであることを確認した。5.セリシンAタンパク質の分子性状を調査し、糖鎖付加や酵素的二量体化が生じていないことを確認した。6.キイロスズメバチのホーネットシルクタンパク質のcDNA配列を決定し、またアミノ酸繰り返し構造が豊富な新たなホーネットシルクタンパク質を見出した。7.ゲルフィルム化手法で作製したフィブロイン、バージンセリシン、及びホーネットシルクのモルモット皮膚感作性評価を実施し、いずれの材料も陰性であることを確認した。8.オニグモ牽引糸タンパク質の繊維化には、脱水プロセスによる2次構造変化とともに物理的延伸プロセスが重要であることを確認した。 |