(2) 農業活動等が物質循環に及ぼす影響の解明

(2) 農業活動等が物質循環に及ぼす影響の解明

課題番号2008010739
研究機関名農業環境技術研究所
研究期間2006-2010
年度2008
大課題2)農業生態系の変動メカニズムの解明と対策技術の開発
中課題(2) 農業活動等が物質循環に及ぼす影響の解明
小課題(2) 農業活動等が物質循環に及ぼす影響の解明
大項目第2 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
中項目1.試験及び研究並びに調査
摘要ア 農耕地における温室効果ガス発生抑制技術の定量的評価 1)温室効果ガス発生抑制技術の定量的評価  中干し期間の前倒し等の水田水管理によるCH4 発生抑制技術の実証試験を実施した。多くの地点ではCH4 発生量を効果的に削減できたが、中干し期間に降雨が多い場合や栽培期間後期にCH4 発生が集中する場合、削減できなかった。農耕地から発生する温室効果ガスのより正確な推定を可能とするため、可搬型自動サンプリング装置を開発した。2)温室効果ガス総合収支データベースの構築と広域予測モデルの開発 1985〜2005 年の農業生産に伴う都道府県別窒素フローデータベースを完成した。N2O発生量をIPCC のTier 2手法により求めたところ、畜産セクタの家畜ふん尿処理に伴うN2O 発生が全体の発生量を強く制御していた。土地利用基盤整備基本調査のデータに基づき各土壌群の排水性の内訳を計算しデータベースを構築すると共に、地下水位によるCH4 発生量の変化を推定できるようにDNDC-Rice モデルを修正した。3)高CO2 濃度・温暖化環境が水田からのCH4 発生に及ぼす影響  開放系での大気CO2濃度上昇及び水温上昇実験を行い、前年同様、高水温による大きなCH4フラックス増大効果と、有意ではないが過去の試験と同程度の高CO2濃度によるCH4フラックス増大効果が観測された。イ 農業活動等に伴う炭素・窒素収支の広域評価手法の開発 1)土壌有機物動態モデルの広域検証と土壌炭素蓄積量変化の全国推定  土壌有機物動態モデルの信頼性の広域的評価とモデルパラメータの改良手法の開発のため、土壌環境基礎調査データ(実測値)とモデルによる土壌炭素蓄積量の推定値を比較した。モデルの妥当性を確認した。推計値は概ね妥当だった。土壌有機物動態モデルを全国の農耕地に適用し、堆肥や緑肥の投入による土壌炭素蓄積効果を見積もった。1990年時点での炭素蓄積量を初期値とし、堆肥投入シナリオ、水田二毛作シナリオ及びその併用シナリオについて、炭素蓄積量の変化を25 年間計算した。有機物未投入シナリオに比べて、堆肥シナリオでは3,200 万t、水田二毛作シナリオでは1,100 万t の蓄積炭素が増加した。2)窒素の広域循環及び環境への負荷の解明  穀物の単収増加により生産余力の見込まれる東南アジア5 カ国を対象に、穀物の単収変化や食料需要に関するシナリオの下に余剰農地を算定し、バイオ燃料生産可能量、窒素負荷量を見積もった。2030 年には現在の穀物作付面積の20%程度で3〜4 千万kL のバイオ燃料の生産が可能と見積もられたが、窒素負荷量は800 万tN 程度に増大すること、余剰農地を生み出すための穀物単収増加とエネルギー作物生産のために、更に1.3〜1.5倍の窒素負荷が生じることが予測された。ウ 土壌圏から水域への栄養塩類の流出動態の解明に基づく流域水質汚染リスク評価手法の開発 1)浅層地下水流動過程における脱窒による硝酸性窒素除去量の評価  地下水中NO3?の窒素及び酸素安定同位体比を用いて、台地上の畑地・樹園地と低地水田からなる集水域内の脱窒によるNO3?除去率を推定した。地下水中NO3?のほとんどは化学肥料由来NH4+の硝化により生成したものであること、調査対象地域では、85.1 kg-N ha?1 y?1 のNO3?が地下水に負荷され、うち22.8kg-N ha?1 y?1 が地下水中で脱窒により除去されることが推定された。2)表面流出及び下層土を通じた流出によるリンの水域への流出量の推定  傾斜枠を用いて表面流出水中のリン濃度及び流出水量を観測したところ、黒ボク土からの水流出率は黄色土に比べて小さく、流出リン濃度、リン負荷量とも黄色土の約1/10 以下であった。黄色土では堆肥施用により流出水量は低下したが、流出リン濃度は高まった。土壌カラムへの降雨浸入実験を行った結果、カラム流出水中の溶存態リン濃度は0.01 mg-P L?1と低く、下方流出リンの90%以上は懸濁態であった。 3)流域レベルでの栄養塩類による地下水・表面水汚染リスクの評価  熊本・栃木両県での営農情報に基づいた流域負荷窒素推定値と地下水硝酸性窒素濃度の関係を解析したところ、窒素ポテンシャル濃度(NPC)は、両県での地下水硝酸性窒素濃度観測値とよい対応を示さなかった。地下水硝酸性窒素濃度は対数正規分布を示し、NPC が増すにつれて任意の基準値(10 mg L?1)を超過する確率が増加した。地下水中硝酸性窒素濃度が10 mg L?1を超える確率とNPC との関係は両県で異なり、地域的要因の関与が示唆された。水辺域での浅層地下水中硝酸性窒素濃度の低下と土壌類型の関係に着目し、集水域(桜川上流)の浅層地下水中硝酸性窒素濃度の面的推定を試みた。
研究分担(独)農業環境技術研究所,物質循環研究領域
協力分担関係グリーンブルー(株)
予算区分技会交付金研究 イノベーション創出事業 委託・環境研究[地球温暖化] 生産局交付金研究 農水省・その他 文科省[科研費] 文科省・その他 環境省競争的資金 環境省・その他
業績(1)Effect of land use change from paddy rice cultivation to upland crop cultivation on soil carbon budget of a cropland in Japan
(2)Climate-crop yield relationships at provincial scales in China and the impacts of recent climate trends
(3)N2O and NO emissions from an Andisol field as influenced by pelleted poultry manure
(4)Modeling nitrate leaching on a cropped Andosol
(5)Estimating the three-dimensional structure of canopy foliage based on the light measurements in a Betula ermanii stand
(6)Methane flux characteristics in forest soils under an East Asian monsoon climate
(7)CH4 emission with differences in atmospheric CO2 enrichment and rice cultivars in a Japanese paddy soil
(8)Increased night temperature reduces the stimulatory effect of elevated carbon dioxide concentration on methane emission from rice paddy soil
(9)Effect of Elevated [CO2] on soil bubble and CH4 emission from a rice paddy: A test by 13C pulse-labeling under free-air CO2 enrichment
(10)Community structure of ammonia oxidizing bacteria and their potential to produce nitrous oxide and carbon dioxide in acid tea soils
(11)Mitigation options for N2O emission from a corn field in Kalimantan, Indonesia
(12)Is burial of wheat straw in ditches a way to reduce CH4 emissions from rice cultivation?
(13)Methane emission from paddy soils as affected by wheat straw returning mode
(14)Short-term effects of wheat straw incorporation in to paddy field as affected by rice transplanting time
(15)Influences of chemical fertilizers and a nitrification inhibitor on greenhouse gas fluxes in a corn (Zea mays L.) field in Indonesia
(16)家畜ふん尿堆肥に含まれる肥料成分の傾向と堆肥化に伴う窒素消失量の推定
(17)Nature of the ""occluded"" low-density fraction in soil organic matter studies: A critical review.
(18)Spectral detection of grazing degradation in the Xilingol steppe, Inner Mongolia
(19)Seasonal contribution of C3 and C4 species to ecosystem respiration and photosynthesis estimated from isotopic measurements of atmospheric CO2 at a grassland in Japan
(20)インドネシアにおける食糧消費量推計と余剰水田を用いたエネルギー作物生産
(21)Ammonia exchange between rice leaf blades and the atmosphere: Effect of broadcast urea and chages in xylem sap and leaf apoplastic ammonium concentrations
(22)2030年までの中国31省市自治区の食料需要予測
(23)Field scale determination of the aquifer-aquitard boundary in the Joso Clay by cone penetrometry
(24)Denitrification during vertical upwelling at an alluvium-diluvium interface below the upland perimeter of riparian paddy
(25)Efficiency of removal of nitrogen, phosphorus and zinc from domestic wastewater by a constructed wetland system in rural areas: a case syudy
(26)温室効果ガスの可搬型自動サンプリング装置の開発
パーマリンクhttps://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3030093453
収録データベース研究課題データベース

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