c.大豆生産不安定要因の解明とその対策技術の確立

c.大豆生産不安定要因の解明とその対策技術の確立

課題番号2009013840
研究機関名農業・食品産業技術総合研究機構
研究期間2006-2010
年度2009
大課題A 地域の条件を活かした高生産性水田・畑輪作システムの確立
中課題c.大豆生産不安定要因の解明とその対策技術の確立
小課題c.大豆生産不安定要因の解明とその対策技術の確立
大項目試験及び研究並びに調査に係る研究の推進方向
中項目イ 農業の競争力強化と健全な発展に資する研究
摘要大豆の黒根腐病の発生生態や発病機構の解明では、1)ダイズ黒根腐病の本年度の発生状況についてのアンケートを大豆主要21府県に対して実施し、12県で発生が見られ、発病抑制効果があるとされていた水稲2年以上のブロックローテーションを行っている水田転換畑でも発生が問題となっていることを明らかにした。地下部の病徴と減収程度の間に密接な関連が認められ、側根の腐朽が著しくなると子実重は半分以下になること、ウレイド態窒素を加えたダイズ黒根腐病菌培養物と罹病大豆導管液のHPLC分析でほぼ同じ高分子のピークが検出されること、黒根腐病菌が産生する低分子毒素処理に対する品種間差は認められないこと、ほ場条件下での野生エンバクのすき込みにより、黒根腐病の発生は若干軽減されることを明らかにした。また、調湿処理した大豆の種子にマンゼブ・メタラキシル水和剤を粉衣することにより出芽が安定すること、出芽不良を引き起こす菌は病原性の弱いPythium属菌やPhythophthora属菌であること、ベンチアバリカルブイソプロピル・TPN剤、マンゼブ・メタラキシル剤の種子粉衣は生育初期の茎疫病防除に有効であることを明らかにした。その他、不耕起播種栽培は茎疫病を助長し、白絹病の発生を抑制し、額縁明渠排水のみのほ場では病因不明の立ち枯れが多発することを示した。 調湿種子製造技術及び排水対策を兼ねた播種技術の開発では、1)調湿種子は湿った土壌に播種し、かつ出芽時に土壌表面が固くなった時、乾燥種子と比べて出芽率が大幅に高まること、現地ほ場でも調湿種子の出芽率は乾燥種子と比べて高まる傾向にあること、開発機(サブソイラ付不耕起播種機)の収量は2ヶ年の現地実証試験から他の播種法と同等以上であるが、実用化にはさらなる播種精度の向上が必要であることを明らかにした。播種後の吸水障害を回避するには、種子内部の水分を14%w.b.以上、種子内の水分差を2%w.b.以内とする必要があり、調湿処理方法を問わず種子内水分の均一化に最低3日間を要すること、降雨後3日以内の播種か播種後の半日以内に降雨がある場合は調湿種子による出芽安定化効果が期待できることを明らかにした。2)前作麦稈の焼却処理の代替として行われるフレールモーア処理は、土壌の圧密化等をとおして大豆の苗立ちを悪化させ減収を招く場合があり、麦収穫時にコンバインのわら細断拡散装置を利用すれば、フレールモーア処理を省略しても不耕起播種の作業性への影響は小さいことを明らかにした。大規模地下水位調節システム現地試験(大豆連作3年目)において、出芽促進のための地下水位上昇に伴う一時的な冠水は出芽期の病害(茎疫病、ピシウム病等)を多発させること、70cm畦幅よりも30cm畦幅が多収であり、不耕起と耕起による収量差は見られないことを明らかにした。また、畦間サブソイラの作土層施工は不耕起播種大豆の苗立ち改善に有効であったが、水口側の枕地やその近傍では効果はないこと、関東地域の水田転換畑における不耕起播種大豆に対する化成肥料の基肥施用は、苗立ち不良や立ち枯れの発生を助長し立毛数を減少させて減収を生じやすいため必要性が低いことを明らかにした。 根粒窒素固定能を向上させる栽培技術の開発では、1)土壌の種類によって根粒菌を菌液で接種した場合の根粒着生が異なり、土壌水分上昇効果や接種効果が泥炭土で低くなる理由の1つに土壌による根粒菌吸着の違いが関与していることを示した。また、根粒菌と大豆根の接触に関わる発芽・発根の遅速を解明するにあたり、実験手法として根粒菌と土壌との接触を低減できる粒状化資材を用いた接種法によって根粒着生が向上することを明らかにした。納豆小粒は種子中のモリブデン含量の富化により増収する傾向があったが、タチナガハではその効果が不安定であった。 地下水位の高低、変動が大豆根粒、根系の生理機能に及ぼす影響の解明では、1)地下水位が根粒窒素固定に及ぼす影響をポット実験で詳しく解析し、湛水処理(ほぼ土壌中酸素濃度0%)のみでは1週間処理してもほとんど障害を受けないが、湛水+土壌還元処理を行うと最短では3日間で根粒は障害を受けて、湛水処理除去後の回復も大きく劣り、さらにその障害程度は地温が大きく関係していることを明らかにした。
研究分担(独)農業・食品産業技術総合研究機構,中央研,大豆生産安定研究チーム
予算区分技会交付金研究 新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業 委託・食料供給力強化研究[加工プロ] 委託・食料供給力強化研究[担い手ITプロ] 文科省・その他
業績(1)ダイズ調湿種子の発芽力を維持する保管方法
(2)不耕起播種大豆に対する化成肥料の基肥施用による株数の減少と減収
(3)ダイズの吸水障害回避に関する研究(第2報) -循環式乾燥機を利用したダイズ調湿種子製造技術の開発-
(4)ダイズの吸水障害回避に関する研究(第1報) -吸水障害の発生条件の検討-
パーマリンクhttps://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3030093552
収録データベース研究課題データベース

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