② 遺伝子組換えカイコの高度利用技術の開発

② 遺伝子組換えカイコの高度利用技術の開発

課題番号2012020469
研究機関名農業生物資源研究所
研究期間-4
年度2012
研究問題3.新たな生物産業の創出に向けた生物機能の利用技術の開発
大課題② 遺伝子組換えカイコの高度利用技術の開発
中課題② 遺伝子組換えカイコの高度利用技術の開発
大項目第2 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
中項目1.試験及び研究並びに調査
摘要1.簡便に判別可能な遺伝子組換えマーカーを開発するため、カイコの卵と眼が赤い赤卵変異体を解析し、卵と眼の紫色色素の合成に必要なBm-re遺伝子を新たに発見した。同遺伝子は黒い眼のコクヌストモドキ等にも存在するが、元々赤い眼のキイロショウジョウバエには存在していないことがわかり、カイコ以外の昆虫の眼の色の違いにも関わることが示唆された。この遺伝子を利用することによって、肉眼で判別可能な卵色・眼色マーカーの開発が期待される。
2.体色で簡便に判別可能な遺伝子組換えマーカーの開発のため、カイコの体表の黒色の色素合成を抑えるBm-aaNAT遺伝子を強く働かせることにより、カイコのみならずキイロショウジョウバエやテントウムシにおいても、幼虫や成虫の黒い色素の合成を抑える方法を発見した。この遺伝子を利用することで、これまで組換え体の判別が困難であった、卵が着色しているカイコの実用品種での遺伝子組換え体の選抜が簡便になり、カイコを用いた遺伝子機能解析や有用物質生産が加速化されることや、カイコ以外の昆虫でも利用可能な優性マーカーの開発が期待される。
3.遺伝子ターゲッティング法の開発のため、人工ヌクレアーゼTALENの導入を行い、TALENによる遺伝子ノックアウトに成功し、さらにTALENの構造改変により効率を劇的に向上させることに成功した。また、インテグラーゼによる部位特異的遺伝子導入がカイコで可能なことを示した。
4.カイコの有用遺伝子として、殺虫性タンパク質(Bt毒素)の抵抗性に関わる遺伝子を追究した。単離した候補遺伝子を遺伝子組換えにより導入したところ、抵抗性系統を感受性に変えることに成功し、この遺伝子がBt毒素の抵抗性に関与する遺伝子であることを証明した。その他、繭の肉色変異体F等の原因遺伝子の解明に成功した。今後、BT剤抵抗性やシルク着色のメカニズムの解明とその利用が期待される。
5.カイコを用いたバイオ医薬品生産の実現を目標とし、カイコで生産した医薬品の原材料となるタンパク質の評価を国立医薬品食品衛生研究所等と共同で行うために、昨年に引き続き群馬県と連携して養蚕農家からなる飼育組合による約1万5千頭の遺伝子組換えカイコの飼育を実現した。
6.組換え高機能シルクの実用化を進めるために、外部機関と連携し、これまでに開発したシルク系統の実用品種化を進めて生糸を繰糸することに成功し、それらの生糸を精錬して使った着物(舞台衣装)を試作した。また、リングピローやスパイダーシルクのベスト等も試作した。
7.組換え高機能シルクの大量生産のために、群馬県での産業第二種使用等の申請に協力し、申請が承認されて群馬県施設において大量飼育(4.8万頭)が行われ、大量飼育体制の構築が進んだ。
8.動物では国内で初の第一種使用等となる予定の、遺伝子組換えカイコの第一種使用等に向けて、申請書を作成し、生物多様性影響評価のために必要となる毒性試験等を行うとともに、懸念されている野外のクワコとカイコの交雑について検証を行ったところ、ミトコンドリアだけでなく核遺伝子においても、日本のクワコ集団からカイコへの遺伝子流入は確認されなかった。
研究分担瀬筒 秀樹
中島 健一
行弘 研司
米村 真之
冨田 秀一郎
岡田 英二
河本 夏雄
内野 恵郎
立松 謙一郎
飯塚 哲也
小林 功
坪田 拓也
協力分担関係国立大学法人徳島大学
国立大学法人東京大学
国立大学法人群馬大学
(独)農業・食品産業技術総合研究機構
(株)ゲノム創薬研究所
増田化学工業(株)
特定非営利活動法人産学連携推進機構
群馬県蚕糸技術センター
群馬県繊維工業試験場
(独)農業環境技術研究所
予算区分技会交付金研究 新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業 委託プロ[新農業展開ゲノムプロ] 委託プロ[アグリ・ヘルス] 文科省[科研費] 文科省・JST競争的資金 文科省・その他 厚労省競争的資金 その他
業績(1)The mitochondrial genome of a stick insect Extatosoma tiaratum (Phasmatodea) and the phylogeny of polyneopteran insects
(2)繭糸繊度の異なる蚕品種の生糸性状
(3)日本に生息するクワコ(Bombyx mandarina)の遺伝的多様性の多面的検討
(4)Identification of the Bombyx red egg gene reveals the involvement of a novel transporter family gene in the late steps of the insect ommochrome biosynthesis pathway
(5)ミトコンドリアゲノムに基づくナナフシ類の分子系統解析
(6)Genetic analysis of the electrophysiological response to salicin, a bitter substance, in a polyphagous strain of the silkworm Bombyx mori
(7)A visible dominant marker for insect transgenesis
(8)Tightly controlled tetracycline-inducible transcription system for explosive gene expression in cultured silkworm cells
(9)日本に生息するクワコの自然集団におけるミトコンドリアCOIの塩基多型
(10)日本列島に生息するクワコの遺伝的多様性を評価する
(11)PhiC31 integrase-mediated cassette exchange in silkworm embryos
(12)Nucleotide sequences of mitochondrial cytochrome C oxidase subunit I (COI) gene show clear differences between the domesticated silkmoth Bombyx mori and the wild mulberry silkmoth Bombyx mandarina from Japan
(13)Efficient disruption of endogenous Bombyx gene by TAL effector nucleases
(14)後部絹糸腺における水溶性組換えタンパク質の発現の試み
(15)Inhibition of the binding of MSG-intermolt-specific complex, MIC, to the sericin-1 gene promoter and sericin-1 gene expression by POU-M1/SGF-3
(16)Origins of P450 diversity
(17)日本に生息するクワコ自然集団のミトコンドリアCOIにみられる塩基多型
(18)Mitochondrial cytochrome c oxidase subunit I (COI) gene nucleotide sequences show clear differences between the domesticated silkmoth Bombyx mori and the wild mulberry silkmoth Bombyx mandarina from Japan
(19)カイコの卵と眼の色素合成に必要な遺伝子を発見−肉眼で判別できる遺伝子組換えマーカーの開発に期待−
(20)Single amino acid mutation in an ATP-binding cassette transporter gene causes resistance to Bt toxin Cry1Ab in the silkworm, Bombyx mori
(21)昆虫の黒い色素の合成を抑える方法を発見
−肉眼で簡便に判別できる遺伝子組換えマーカーの開発に期待−

(22)肉眼で判別できるカイコの遺伝子組換えマーカーの開発
(23)CD36 homolog divergence is responsible for the selectivity of carotenoid species migration to the silk gland of the silkworm Bombyx mori
(24)Little gene flow between domestic silkmoth Bombyx mori and its wild relative Bombyx mandarina in Japan, and possible artificial selection on the CAD gene of B. mori
(25)日本産クワコ自然集団の遺伝的構造
(26)Evaluation of gene flow between domesticated and wild silkworms (Bombyx mori and B.mandarina)
パーマリンクhttps://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3030203464
収録データベース研究課題データベース

研究課題アクセスランキング

Copyright 2017 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat